動物農場- Animal Farm【講談社英語文庫】

  • 講談社インターナショナル (2007年6月13日発売)
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感想 : 8
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革命により王政の支配が崩れ、平等な社会への希望が生まれる。しかし、すぐにその均衡は崩れ、独裁政治に移行し、最後には革命以前よりも厳しい恐怖政治の中で不平等社会が確立する。そのプロセスが、動物の社会という形で戯曲化されながら、分かりやすい比喩の中で、詳細に記述されていく。
原書に挑戦したが、比較的英語の単語・表現が容易で話の流れを大体理解できた。
この話の中では、思考力の有無と、ことばへの理解・無理解が相互に連関し、そのことが大きく立場や人生を揺るがす社会的な役割を果たしており、ことばの持つ力のうちの暴力性や虚偽性を痛感した。思考力と連関する書き言葉や学力言語に関して、そうした「ことば」の存在こそが悪なのではないか、と訴える一方で、その悪を暴くことができるのもまたことばなのだ、と筆者は言いたいのではないかと思った。
作品の中では特に、必死で働くこと、支配者を絶対化して従うことを善としてきたBoxerが、ぼろぼろになって初めてその偽りの善を悟り自分の安楽を選ぼうとするが、その最後のチャンスを暴力的に奪われ、その最期も描かれることのないある種の匿名的存在に追いやられる場面が一番辛かった。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: フィクション
感想投稿日 : 2008年4月27日
本棚登録日 : 2008年4月27日

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