中学の同級生、趙大煥にさそわれて、筆者が朝鮮人の虎狩を見にいくという話。…ですが、虎狩の緊迫感や緊張感よりは、この趙という友人との関係、彼の繊細さや複雑さがメインになっているように思います。
この趙という子が、実にひねくれているんです。弱くてプライドが高くて、ニヒリスト、というか。で、それが生意気だと上級生に目をつけられる。そこで趙は「強いとか、弱いとかって、どういうことなんだろう……なあ。全く。」とつぶやくんです。泣きながら。
趙は、決して友達になりたいタイプじゃないし、親近感のわくタイプでもないんですが、彼の「自分が日本人でないこと」をはじめとするコンプレックスが苦々しくて、ちょっとした青春小説を読んだ気持ちになる短編でした。
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- 感想投稿日 : 2015年8月4日
- 読了日 : 2015年8月4日
- 本棚登録日 : 2015年8月4日
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