虎狩

著者 :
  • 青空文庫 (2003年7月20日発売)
3.60
  • (1)
  • (1)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 9
感想 : 3
3

中学の同級生、趙大煥にさそわれて、筆者が朝鮮人の虎狩を見にいくという話。…ですが、虎狩の緊迫感や緊張感よりは、この趙という友人との関係、彼の繊細さや複雑さがメインになっているように思います。

この趙という子が、実にひねくれているんです。弱くてプライドが高くて、ニヒリスト、というか。で、それが生意気だと上級生に目をつけられる。そこで趙は「強いとか、弱いとかって、どういうことなんだろう……なあ。全く。」とつぶやくんです。泣きながら。

趙は、決して友達になりたいタイプじゃないし、親近感のわくタイプでもないんですが、彼の「自分が日本人でないこと」をはじめとするコンプレックスが苦々しくて、ちょっとした青春小説を読んだ気持ちになる短編でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年8月4日
読了日 : 2015年8月4日
本棚登録日 : 2015年8月4日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする