
「しさくは きみの ために ある」。
4歳で目の異常のために右目を摘出、9歳で左の視力も失う。14歳でこんどは右耳が聞こえなくなり、18歳ですべての音を奪われた、盲ろう者・福島智。
盲ろうになった直後、失意のうちにあった福島に対し、その手のひらに盲学校の友人が、指先で一文字ずつ書いてくれた。
「思索は君のためにある」。
友人のこのあたたかい言葉が、どれほど励みになっただろう。
福島は、現在東京大学で教鞭を執る。研究分野は「バリアフリー」。思索は続く。
光もなく音もない。宇宙空間に放り出されたようなものだ。自分の存在意義を考えずにはいられない状況だ。
そんな彼だから言える「生きることが最大の仕事」という言葉が心に響く。多くの人に届けたい言葉だ。
しっかり生きたその足跡こそが後世への最大の遺物になる。ぼくもあなたも。
- レビュー投稿日
- 2017年10月5日
- 読了日
- 2017年10月5日
- 本棚登録日
- 2017年10月5日
『ゆびさきの宇宙――福島智・盲ろうを生きて (岩波現代文庫)』のレビューへのコメント
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