作品解説(カバーより):爆発的ヒットとなった、ゲームドラマ『弟切草』から三年。ゲームデザイナーの松平公平は、長いスランプに陥っていたが、ようやく立ち直り新作に取り組み出す。公募された脚本に採用されたのは、有沙、融、菜つみの三人の女子大生だった。少しずつ有沙に惹かれていく公平だったが、ロケハンの京都で禍々しい事件が起きて……!
上の『死人花』のように、この作品は『弟切草』の異聞ということですが………う~んなんとも。
まず『まえがきに代えて』と題して下のような挑戦状があります。
①本作品はホラーミステリー小説です
②「犯人は誰か?」を当てて下さい
③手がかりは、すべて「上巻」に出ています
④犯人は、次ページの登場人物の中にいます
⑤どうぞ、<ゲーム感覚>でお楽しみ下さい
更には「下巻」のあとがきに「おそらくは(犯人を当てることは)無理でございましょうが」という挑発的な言葉もありますが、上巻を読み終えた時点で「……あのー、犯人わかっちゃったんですけどぉ(ケイゾク風)」という単純さ。
三部作は好きでしたが、ここまでくるとやりすぎですね。「ミステリー? どこが?」と思ってしまいます。他の作品を読んでない方には「羅劫」や「志乃」の存在が意味不明だし、何のトリックも解決されていません。作中に出てくる暗号めいたメール内容も使い古されたもので、作者の自己満足としか思えません。
この作品はミステリーらしいのでこのような評価ですが、単純にホラー作品として読むのであれば、時折背筋のゾッとするような場面があるので評価はちょっとだけ上がります。しかし、サウンドノベル形式の小説版は、相当面白くない限り(下地が同じなので)読者に飽きられてしまうでしょう。
- 感想投稿日 : 2017年2月1日
- 読了日 : 2005年5月19日
- 本棚登録日 : 2017年2月1日
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