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偉い人ほどすぐ逃げる
- 武田砂鉄
- 文藝春秋 / 2021年5月27日発売
- 本 / 本
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「天邪鬼」「ひねくれ者」という呼ばれ方は、自分にとっては長らくほめ言葉だと思ってきた。
だが最近では、そういう人を「面倒くさい人」「ウザい人」として社会が忌避するばかりか、公式非公式に弾圧すらされるようになってきたと感じる。
武田氏の著書で叫ばれる「当たり前さ」は、こういう世の中で「天邪鬼」でいることの誇りを取り戻させてくれる。
2022年2月20日
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ツイッターとフェイスブックそしてホリエモンの時代は終わった (講談社+α新書)
- 梅崎健理
- 講談社 / 2014年6月20日発売
- 本 / 本
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なるほど、そういうことね。
デジタルにもアナログにも偏り過ぎず技術と人間との調和のとれた社会を模索する著者の志向には共感するところ大。
特にSNSへの接し方や電子書籍に思うところはとても同意。
挑戦的なタイトルの真意は最後までしっかり読んで咀嚼すべし。
2014年9月15日
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「奇跡」は準備されている 何が日本のフェンシングを変えたのか!
- オレグ・マツェイチュク
- 講談社 / 2014年5月23日発売
- 本 / 本
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フェンシング日本代表コーチである著者による、オリンピック銀メダル獲得までの道のりを描いた奮闘記。
資金も設備も環境も実力も世間の知名度もない日本のフェンシング界を託されたウクライナ人の若者。しかし彼自身も選手としての実績も少なく、指導者としては無名。言葉も通じず当然選手からの信頼もモチベーションも無い。ないない尽くしの状況でそれでも彼の持つ熱意と真摯さが少しずつ選手たちの力を目覚めさせ始める…。
そして彼らが成し遂げた「奇跡」が、どういう過程で準備されていったか。そこには我々の想像以上の苦難の日々があったに違いないが、読んでいてそうした重さや悲壮感を全く感じさせない爽やかな読後感がある。
日本人好みの暑苦しい人間ドラマ性が薄く物足りない印象を感じるかもしれないが、個人対個人として尊重すべき領域を保ちつつ胸襟を開いて全力で人に接する。その語り口もとても明解だ。
フェンシングを良く知らなくても、十分読んで楽しめること請け合いの一冊。
2014年8月29日
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はなぼん ~わくわく演出マネジメント
- 花井裕一郎
- 文屋 / 2013年1月16日発売
- 本 / 本
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日本一にも輝いた小布施町立図書館「まちとしょテラソ」前館長による奮闘記。とにかく小布施への惚れ込み具合が行間から溢れ出て、著者の充実の日々が伝わってくる。
もっともここまでの過程、決して良いことばかりでは無かっただろうし、綺麗事だけではない苦難もあったとは思う。だが小布施に入り浸るようになり、館長に就任してからは自分のことではなくあくまで地元の住民との協力から得られた喜びと感謝が本のどこからでも読み取れる。図書館に携わる者のはしくれとして読んでて夢のような一冊。自分も一度小布施には行ってみたいと思ってはいるんだけど…。
2013年4月18日
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世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析
- 斎藤環
- KADOKAWA / 2012年6月29日発売
- 本 / 本
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うん、読めば読むほど自分とは真逆の世界なんだなぁという思いが深まる。
自分も田舎の港町で育ちこういう人の多い環境だったけどその雰囲気に馴染めず距離を置いて暮らしていたから、その深層心理にまでフォーカスした本書は面白く読めました。
2014年9月15日
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クール革命 貧困・教育・独裁を解決する「ソーシャル・キュア」
- ティナ・ローゼンバーグ
- 早川書房 / 2012年1月11日発売
- 本 / 本
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なかなか読み進むのが困難だったのはなぜだろう。
禁酒や疫病撲滅、成績の向上からはては独裁者追放まで、どんなレベルでも社会を変革させるのに効果的と筆者が説く「ピア・プレッシャー」。
あるときは鮮やかに、あるときは地道に変化を起こす過程を豊富な実例とデータで検証していく様を見ていくと、これが上手く回れば世界は本当によくなるのかもという気にすらなってくるが、世界はまだまだ深刻な問題だらけなのはそれを人類が良い方に使いこなす術を知らないからなのだろうか?
だが私には、良くも悪くも「ピア・プレッシャー」を最も受け易いであろう日本人が本書のような手法をいくら巧みに社会に盛り込んでも、期待されるような変化を起こす様子がどうしても想像できないのだ。邦訳者はあとがきで震災後の日本でもきっと本書で紹介したようなやり方を模索すれば、復興へのより良い道筋がつけられる的なことを書いていたが、はたして。
「ピア・プレッシャー」は果たして日本人の独特な精神社会でも有効なのか、今度はそこを見てみたいものだ。
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情報の呼吸法 ideaink 〈アイデアインク〉
- 津田大介
- 朝日出版社 / 2012年1月10日発売
- 本 / 電子書籍
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新しいメディアの使い方について分かり易く書かれた津田大介@tsuda の面白い一冊。「呼吸法」のネーミングは秀逸。情報は取り入れるだけではなく、発信する事が必要かあ。
触発されて何かをやってみたくなるね。
2014年11月11日
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冒険エレキテ島 (1) (アフタヌーンKCDX)
- 鶴田謙二
- 講談社 / 2011年10月21日発売
- 本 / マンガ
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念願の新作。海と空と古びた田舎町と機械と女の子と猫。
緻密で透明感のある絵と世界観。この人の作品、やはり買わないわけにはいきますまい。
続きもおそらく出るであろうと期待して何度も読み返します。
2012年3月14日
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3・11後の建築と社会デザイン (平凡社新書)
- 三浦展
- 平凡社 / 2011年11月15日発売
- 本 / 本
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実家が被災した身として、タイトルに引きつけられ読了。もはや一住宅=一家族だとか、土地や家を所有することが標準モデルとされなくなっている現状に拍車をかけるかもしれない今回の震災。それに対し建築家や社会学者は何ができるかを問いかけたシンポジウムの記録。
果たしてここから得られた議論の中身が、少しでも今後の復興や日本の社会システムづくりに反映されると良いのだが。
2012年1月26日
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絶望の国の幸福な若者たち
- 古市憲寿
- 講談社 / 2011年9月6日発売
- 本 / 本
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新進気鋭の若き社会学者の注目作。
社会情勢の急激な変化の割を食って制度的・経済的に苦境に立たされる(と言われている)若者たち。しかしその幸福度は非常に高い。
実際、本当にこのままで良いのか、その実態を知り現状打開のためのヒントを得ようと思って読むと肩すかしを食わされることになる。
作者は古今の様々な文献のみならずフィールドワークによるインタビューでも意欲的に一面的でない実態を描こうと試みる。
結局、現在の日本では『若者」と一括りされるような層ははっきりしない、今の「若者」の現状を鑑みて、それの何が問題なのか、という話に落ち着く。
この先、不安で予測のつかない未来への恐れと楽しみを、「生温かく」見守って、やり過ごしていくしか無い。
ただ分析し、あるがままに提示する。物足りなく感じる人もいるかもしれないが、これもまた新しいスタイルなのかもしれない。
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100個チャレンジ 生きるために必要なモノは、そんなに多くない!
- デーブブルーノ
- 飛鳥新社 / 2011年8月1日発売
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一時流行った断捨離のアメリカ版か。モノに縛られていろいろな事が見えなくなっている今の状況をヤバいと思っている人、ホントに多いんだね。
ちなみに読後、著者のルールに準じて試しに100個チャレンジしてみたら私物100個いかなかった。意外と簡単なのか、僕が貧しいのか…。
2012年3月26日
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0311再起動 君たちに東日本大震災後の世界を託す
- 堀江貴文
- 徳間書店 / 2011年6月1日発売
- 本 / 本
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一気に読了。あれから8ヶ月以上が経っているこの時期に読むのはやや遅きに失した感があるかと思いきや、現状は本書に書かれている事態からあまり進展していない事に愕然。無論、仮設住宅や支援物資など民間での支援は目覚ましく被災地の力となっているが、それに対する国の対応はあまりにもお粗末。
やはり堀江氏の言う通り、「何も手を打たない」のではなく「打てない」のが事実なんだろうか。何度も本書で述べられている「国家=政府」は当てにしないほうがいい。という言葉が、切実なものとして迫って来る。
しかし、堀江氏がみんなの集合知で危機を回避したと言うSNSも、次第にその姿を変えつつある。流言飛語と誹謗中傷と悪意に満ちたデマや多数派による煽動など、その澱み始めた空間が果たしてどれほど我々の行先を照らす灯りであり続けられるのか。そして堀江氏が想定した未来の東北の姿。あれが答えの一つであることに期待する反面、自分が生まれ育った東北の地のあってほしい姿であるとは私には想定できない。
だが、その姿を描き、実際に復興の鎚音を響かせる力を持つのはもはや国ではなく、これからもそこで生きていかなければならない我々のすべき事だというのは確からしい。堀江氏に託されたメッセージを参考に、考え続けていかなければならない。
2011年11月30日
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ショートカットの女たち
- パトリス・ルコント
- 春風社 / 2011年6月5日発売
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タイトルに惹かれて読みました。
自分も大のショートカット好きなので主人公の心理は良く分かる…けど、なんだかんだ言って話が上手く行き過ぎ。大人のおとぎ話としては楽しいのかな。
2012年11月2日
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もしあなたがプロ野球を創れと言われたら 「昇進」より「夢」を選んだサラリーマン
- 村山哲二
- ベースボール・マガジン社 / 1970年1月1日発売
- 本 / 本
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プロ野球・BCリーグ設立の過程を通じた男達の奮闘の日々。地方の小リーグでもいざ立ち上げるとなるとここまでクリアしなければならない課題があるのだなぁと、著者以下関係各者の頑張りには頭が下がります。
予算・財政・資金と、とにかくカネは徹底的にシビアに押さえつつ、地域への模範となる理想を追求し続けるのは大変な困難が予想されるが、今後各地域に独立リーグが次々立ち上がるモデルとして成功して欲しいと切に望む次第です。
2012年2月8日
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プロ野球経営が破綻するこれだけの理由
- 江本孟紀
- 日本工業新聞社 / 2011年3月1日発売
- 本 / 本
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2012年2月7日
読んでるだけで胃が重くなりそう。
でもいつかはやってみたい!こぶとり料理。
2012年2月18日
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ルポ 電子書籍大国アメリカ (アスキー新書)
- 大原ケイ
- アスキー・メディアワークス / 2010年9月10日発売
- 本 / 本
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若干前の話ながら、アメリカの出版業界と電子書籍との関わりを記したもの。こうやって読んでみるとアメリカはどの業界、会社でも強かで変化に柔軟だと思い知らされる。というか日本の産業界があまりにも閉鎖的で見当外れなだけなのか。
現状の日本の出版業界とは事情が違いすぎるので何とも言えず、今後どういった方策を取るべきなのかがあまり明確にされていなかったが、それは本書の主旨ではないからだろう。
グーグルとアマゾンの電子書籍に対する考え方の本質が明快で頷けたのと、アップルがなかなか電子書籍でイニシアチブを取れない事にも納得。個人的にはアマゾンが早く日本で電子書籍市場に参入してkindleを発売してもらいたい。
2012年2月23日
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勝間さん、努力で幸せになれますか
- 勝間和代
- 朝日新聞出版 / 2010年1月8日発売
- 本 / 本
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2日で読了。正直、読みながら歯痒さばかりだった。
以前から勝間氏の著書を何冊か読み、その方法論や生活観には関心を寄せるものの、私個人的にはマイペース・スローライフ・アンチ競争社会。何をやってもダメな人、上手くいかない人側の人間として、アンチカツマー流の幸福モデルの片鱗でも示してくれればと思っていました。
だが、何をどう読んでも、勝間氏の言い分に納得せざるを得ないばかりか、その都度むきになって的外れな反論を試みる香山氏が何とも心もとない。
もともとこの手の議論には平行線なまま終わるものが多いものの、苦笑するしかない読後感でした。
2010年7月7日
本一冊できちゃう銘柄。これしかないでしょ。本日ヱビスの日にちなんで。目でも舌でも楽しめます。
2012年2月25日
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知識だけあるバカになるな! 何も信じられない世界で生き抜く方法
- 仲正昌樹
- 大和書房 / 2008年2月8日発売
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「学ぶ」「考える」とはどういう事かを整然と解説し、大学教育で伝統的な教養を学んで、論理的に思考の基礎を構築する事の大切さを分かりやすく説いた書。私もかつて「歴史学なんて勉強して役に立ったの?」などとしたり顔で言われたことがあったが、そんな奴は放っておけばいいのだな。
とはいえ残念ながら昨今の世間も大学も実利・功利主義に走り、本書で指摘されている「軽チャー」化の傾向には私の母校も陥っている有様。大学時代にこの本が出ていれば良かったのに…。
文楽の技芸を極めんとする若き大夫の奮闘の日々を、その時演じている人気演目の題材になぞらえて生き生きと描く傑作。何が良いって、文楽の世界や演目に関する知識がなくても、当たり前のように展開して行く物語に抵抗無く入っていける作者の技量。無駄な人物描写を抑え、あくまで彼らが過ごしている「現在」にフォーカスを当てていることで、かえってその広く、深い世界を垣間見せてくれる。伝統芸能に関心がない、という人にこそ、勧めたい一冊。
2010年6月2日
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プロ野球選手という生き方 もしもプロ野球選手になったら?
- 斉藤直隆
- アスペクト / 2004年12月10日発売
- 本 / 本
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スカウトっていつ頃やって来て誰に話を持ちかけるの?
一軍・二軍選手の試合後の過ごし方は?
トレードされたら新居への引越し費用はどうなる?
…など、なかなか知る事の出来ないプロ野球選手の舞台裏を入団前から引退後まで事細かく調べ尽くしたファン必読書。
選手もいろいろ大変なんですね。これを読んで開幕が益々待ち遠しくなりました。
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ロンドン パブのメニュー (味と出会う)
- 城アラキ
- アスペクト / 2000年9月14日発売
- 本 / 本
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『ソムリエ』等で知られる筆者の、英国パブの伝統的メニューを地元のビールと共に紹介する良本。抑え目な雰囲気の写真がまたいいんですよね。昔実家にあったのだが、どこにいってしまったんだろう?
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エグザイルス すべての旅は自分へとつながっている
- ロバート・ハリス
- 講談社 / 1997年1月1日発売
- 本 / 本
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J-WAVEのナビゲーターとしてお馴染みの著者。とんでもなく壮絶で破天荒な旅の、というか魂の遍歴を綴った本。
向こう見ずで有り余るエネルギーに眩しさを覚え、彼らのような若者が闊歩したまだ今ほど窮屈で殺伐としていなかった世界を懐かしく思うのは私だけだろうか。
ここではない何処かを渇望して苦悩と煩悶を重ね、やがては自らを開き人を受け入れ、つながることに幸福と旅のひとまずの答えを見出す。そのメッセージが、驚くほど現在に生きる人々の心に沿うものであり、その歴史こそが、人生という旅の過程で積み重ねられた、「永久不滅のヴィンテージ」となるのではないかと思うのである。
2012年2月15日