小説。複雑な興味から娼夫を買う気になった主人公が、その娼夫とプライベートで接近していく物語。主人公に嘘がないのに比べて、娼夫はどこまで本当なのかよく分からない、全部本当と信じきれない要素を備えているところが、純愛に結びつかないのだけど、真実であろうと虚偽であろうと、気持ちに正直になった者が勝者だと思える、最後のシーンが切ない。これはゲームか? ほとんどの頁を独占してきた二人のやり取り、主に娼夫側が指し示してきたものは、一体なんだったのか。これが恋なら、お互い残酷。初対面の動機で躓いたにしろ、意地の張り過ぎ。でもどこも修正する箇所がない流れに、切なさが募るばかり。でもこんな関係もピュアでいい。プラトニックな物語。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
藤堂志津子
- 感想投稿日 : 2006年8月29日
- 読了日 : 2006年8月29日
- 本棚登録日 : 2006年8月29日
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