チャヴ 弱者を敵視する社会

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「弱者を敵視する社会」とある。英メディアが生活保護不正受給者をバッシングする過剰報道を行う一方、その何十倍の規模で着服され続ける政治資金には触れられることがない社会。そして、中流階級の子供が誘拐された時には同情的世論が集まる一方で、労働者階級の子供が同じように誘拐された時には、その家族が批判される社会。

その背景にはサッチャリズムにより作られらた中流階級志向がある。労働者階級と中流階級には格差があり、労働者階級からの脱却は向上心があればできるという幻想が作られた。つまり労働者は怠惰によってその位置にいるわけであり、貧しい生活を強いられるのも自己責任、よって社会福祉予算を削減することも致し方がないという風潮ができあがった。

サッチャリズム以前のイギリスでは、労働者階級とは英産業を支える役割として認識されていた。しかしサッチャリズム以降、労働者階級とは「貧しく、知性がない」という意味合いとして捉えられるようになった。
そこには、保守党の脅威として存在した労働党や労働組合自体の弱体化の狙いがある。

「チャヴ」という言葉は「貧しく知性がない労働者階級の若者」という意味を持つ。サッチャリズム以降に醸成された「労働者階級=怠惰、無気力」といったような自己責任社会において最下層に置かれる若者を指す。
しかし、労働者階級の多くの人々がそうならざるを得なかった背景には、保守党が行ってきた英産業の破壊による労働者階級のコミュニティや雇用先の破滅がある。
奪うものを奪っておいて、結果は「自己責任」である。


日本でもこのような風潮が見られる。若者を中心とした政治不信に、労働に対する忌避感。生活保護受給者に対する国民の目線は厳しく、メディアの偏向報道に従って国民の世論は「炎上」する。大相撲の暴力事件や不倫騒動を一日中報道する中、看過されたもっと大きな出来事はないのか不安にもなる。

国によって「弱者」と定義される人は変わる。その弱者がどのようにして、何の目的で生まれたのかを知らなければならないと感じた。
学力社会における弱者は、大学にまで行けなかった人達。では行けなかった理由は彼らが怠惰だったから?貧困に陥っていたから?ではそうなった理由はどこにあるのか。自己責任で片付けてはいけない。

個人の生活としてもこの本から学んだことは生かせる。職場でいきいきと働くことのできていない人がいる。その人がそのような状態にあることを自己責任で片付けてはいけない。原因はどこにあるのか、考えなければならない。



Twitterアカウント
@morichy3333
#chavs #チャヴ というタグ付きでその時考えたことも呟いています!

レビュー投稿日
2017年12月29日
読了日
2017年12月29日
本棚登録日
2017年12月27日
3
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