☆読書メモ☆
ナチスドイツを代表とする「ファシズム」について、大学授業でのアクティブラーニングを経て分かりやすく説明した本。ファシズムを産み出すのは以下メカニズムによる。
・必要なもの
○絶対的な権力
○集団による統一目標(ナチスドイツでは国民社会主義・ユダヤ人の排斥、本授業ではリア充撲滅)
○集団を認識させるシンボル(ユニフォームやマーク)
・プロセス
多人数による均一行動により、自己を希薄化させる。同時に圧倒的権力者の命令という「大義名分」を背負う事で自己肯定化し、自らの行動をある種他人事のように感じさせる。この状態で統一行動を行なうと、多数派に属しているという安心感が生まれ、所属に対する強い動機が生まれ、のめり込んでいく。
上記プロセスで重要なのは、当事者は大衆に呑まれると、正しい判断力を失うということである。近年、BLMの暴走やネオ・ナチ、イスラム国といった「ポピュリズム」「ファシズム」的思考が蔓延っている。ネットの発達が、これを一層助長する側面もあるとも感じる。
これを踏まえ、我々が意識しなければならない事は、「臭いものに蓋」をするのではなく、「毒を持って毒を制する」、つまりファシズムの原理を理解し、その上で批判的思考を持ち続ける事である。
社会科学を学習する意義が極まった本であり、読んで良かったと思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年2月28日
- 読了日 : 2021年2月28日
- 本棚登録日 : 2021年2月28日
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