まさしくタイトル通りの「variety」
悪く言えば、寄せ集めーーとも言えようが、奥田さんの作品は全部読みたい、全部目を通したいという奥田英朗ファンにとっては貴重な一冊
お蔵入りするところだった短編6編、ショートショート1編、尾形イッセーさん、山田太一さんとの対談
奥田さんが常日頃影響を受けたと言われるお二人との対談では、なかなか聞けない本音や執筆秘話がちらほら
とても興味深い
例えば・・・
読者の期待に応えないようにいつも逃げる。サスペンスが続き、そういうものを書くしかないだろうと本能的に感じると、伊良部シリーズとかでかわす。それが賞を獲って売れたから、また違うことをやる。期待されるのが怖い
それで奥田さんはたくさんの引き出しを持っておられるのかと納得!
「僕は書く前は臆病になる。書けるだろうか、面白くなるだろうか。この小説は受け入れられるだろうか」
「十人に褒められても一人にけなされると、ものすごい落ち込みます」
直木賞作家で、盤石の地位を築いておられるかに見える奥田さんでさえこんな気持ちなんだと再認識した
最後の短編「夏のアルバム」は、奥田さんご自身が短編の中で5指の中に入る出来栄えで好きな作品とおっしゃっている。
私も大好きだ。同じ年代のせいか、幼い頃祖父母の家に集まって従兄弟達と遊んだことが思い出され、遠い昭和の時代が甦ってきたようで懐かしく感慨深いものがある
奥田さんの後書きなど読むことがないだろうが、これには後書きが付いている。これもまたお得感があった
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年3月4日
- 読了日 : 2021年3月4日
- 本棚登録日 : 2021年3月1日
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