
突然の5代目から届けられた隠居届けと離縁状
五鈴屋の暖簾を守るため、世間の冷たい好奇の目と中傷を尻目に
艶やかな笑みを持って、三男智蔵改め6代目徳兵衛の妻となる
長男、次男に続き三男にまで嫁す!
驚きの展開だが、暖簾を守っていく難しさというのは、常識をはるかに超えるものなのかもしれない
『どんな時も笑って勝ちに行く』治兵衛の教えを貫く幸だ
『女名前禁止』という掟がある大坂、女は家持ちにも店主にもなれないきまりの中で、智蔵は、人形浄瑠璃に例え、自分が人形に、幸は人形遣いになって、思う存分商いの知恵を絞って欲しいと提案する
6代目徳兵衛の優しさに守られながら、次々とアイデアを形にし、実を上げていく幸
今までとは店の雰囲気も一変し、奉公人や女衆も伸び伸びと店のために力を尽くす
自分のことを何の才もない木偶の坊と言うが、自分は人形に徹する事で、幸の才を生かすことを考えた智蔵は、それはそれで素晴らしい人を生かす才能の持ち主だと思った
近江商人や元五鈴屋の手代を使って地方に五鈴屋の羽二重や反物を広める、人形浄瑠璃の人形に五鈴屋の反物を提供するなどのアイデアは、読んでいても、心が躍る楽しいものだった
江戸進出の基盤が着々と整いつつあるように思えるこの巻であったが、最後の最後にまた一勝負・一波乱の兆しが・・・
- レビュー投稿日
- 2020年1月12日
- 読了日
- 2020年1月12日
- 本棚登録日
- 2020年1月11日