しずく (光文社文庫 に 19-1)

著者 :
  • 光文社 (2010年1月13日発売)
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本棚登録 : 3163
感想 : 286
5

久しぶりに出会ってしまった傑作です~

6編の短編集なんですが、作者ご本人いわく、「何にもかえがたい、深く固い友情」を描いた作品。

どれも女性二人の間に芽生えるささやかだけど自然な心情が、悩める相手の支えに変わっていきます。

心に宿る喪失感とか、孤独感、不安感...

ありがちな愚痴や妬みを伴う物語性に発展しないので、安心感を覚えながらも、笑いも涙も交えた文章力に心奪われちゃう訳です。

友情といっても、幼なじみ、家主と借り主、バツイチ彼氏の娘、旅先で出会った不思議な女の子、雌猫同士...、年の近い母娘とか、設定のバリエーションも面白いんですよね~

海の色とか、影の濃さとか、何気ない情景描写も、心の靄が晴れていく詩的な表現力が、さりげなくも巧みなんです...

過去に読んだ長編は、半ば過ぎると痛々しい展開になって、なんだかすっきりしないものも多かったんですが、この作品は違ったリズムで、独特な世界観と優しい文章が癖になりますね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年2月18日
読了日 : 2013年2月18日
本棚登録日 : 2013年2月18日

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