近代科学とキリスト教とは相対立するものである、とふつう一般には考えられている。アメリカのある州ではいまだに「宗教上の理由から」学校で進化論を教えることが禁じられている。人は猿から進化した(人と猿とは同じ祖先を有する)とする説は、神の創造説にあからさまに反するとみえるからである。とはいえ、ガリレオ、ニュートンに代表される近代科学が、ほかならぬキリスト教社会であるヨーロッパにおいてこそ(中国やイスラム、あるいは日本においてでなく)、発生したという事実は、キリスト教と近代科学とのあいだに(とにもかくにもその発生段階においては)何らかの正の関係を想定するに十分すぎる証拠だろう、というのがこの本の発想のもとになっている。科学史・科学論は、高校大学問わず受験国語で頻出の話題です。一般的に言われていることの逆・反対が実は正解、という構造は受験国語は好きなので、こういう一見奇怪な見解(実は学界では逆に「常識」らしいですが)にも目を通しておくのはよいと思います。
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田賀(OB)
- 感想投稿日 : 2006年11月11日
- 本棚登録日 : 2006年11月11日
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