大人は泣かないと思っていた

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レビュー : 69
著者 :
ℳ.さん  未設定  読み終わった 

昔、母が泣いているのを初めて見た時のことを思い出しました。それまで私はきっと、大人は泣かないと思っていた子供でした。見てはいけない気がして、そっと目を逸らし続けた気まずさを覚えています。
誰にでも過去はあり、人との交流や繋がりがあった、そして歳をとってきたのです。その先が何処へ行き着くのか、それは誰もがわかっていて、誰かを求めたり、懐かしの味を求めたり。
私が田中さんのようになれば毎日孤独に枕を濡らすでしょう。私がレモンさんでおばあちゃんと居たら色んなことの度に不甲斐なく泣くでしょう。泣きながら黒く塗り潰したものは、自分の甘さと弱さだったのではないでしょうか。
ふと弱った親を見てしまった時、懐かしいゆずの香りが漂ってきた時、先のことに不安を感じた時...急にそれは訪れるのです。
大人の涙は、支えるべきものの大きさと、今までこの歳まで色んなことをくぐり抜けてきた証、そしてそれは弱さではなく、ふと優しくなれた瞬間なのだと思いました。
私は誰かの為に生まれてきた訳では無いけれど、この人に出会う為に生きてきた、そう思えた瞬間があったことを覚えています。

レビュー投稿日
2018年11月22日
読了日
2018年11月22日
本棚登録日
2018年11月22日
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