すばらしい新世界 (講談社文庫 は 20-1)

  • 講談社 (1974年11月27日発売)
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感想 : 99
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『愛するということ』や『ハーモニー』でも言及されていたので、ぜひ読みたいと思っていた一冊。

この本が書かれた時代背景にナチスによる全体主義的な活動が活発に行われていたというのがあるが、実際に物語の中にもそのようなことが、暗に表現されている箇所が散見された。

読み応えがあったのは、やはり後半の総統とジョンとのやりとりで、幸福を実現するためには、芸術、科学、宗教を抑制し、本来の人間的なあり方を追究させないようにする必要があるというところに、大いなる矛盾があって考えさせるところがあった。

安直に「全員幸せな世界にしたい」というと、衣食住は保障され、嫌なことがあるとソーマを飲んで忘れることができ、好きな時にフリーセックスができるような世界になってしまうことを考えると、幸せや幸福という言葉は軽々しくは使えないと思った。

『ハーモニー』で出てくる「リソース意識」は、本書の「万人は万人のためのもの」と合致するしこの手のユートピア系の小説は、ある種全体主義的な側面が必須なのかもしれない。

J.S.ミルの「満足した豚よりも不満足なソクラテスの方が良い」という言葉が思い出される。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年6月11日
読了日 : 2019年6月11日
本棚登録日 : 2019年5月11日

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