日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実 (中公新書)

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  • 中央公論新社 (2017年12月20日発売)
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200724
名著 名著者
一橋大学の先生として敬意を表したい

200601日経書評[18歳大学生向け]
太平洋戦争戦没者310万人の内9割が1944年(サイパン)以降の死亡
軍人・軍属戦死230万人 餓死が140万人 撃沈海没死35万人 戦闘以外の死
兵站の欠乏・欠落 食料・装備品・医療
統帥権独立の暴走 軍部は拡大一途 抑制の組織機能なし ガバナンス不在


180804日経書評 郷原信之氏 日本軍は現代のブラック企業
軍の勝利至上主義 兵士は消耗品 戦死者の多くは餓死 近代の軍事史ではない
ここには「現代日本の本質」があるように思われる 大学病院の奈落も同じ論
「短期決戦至上主義」自分本位の考え方で臨み、長期的視点が欠落、綻びが目立ってくる
日銀黒田総裁の「異次元の金融緩和」も同じ 短期決戦を前提、長期戦の弊害は思考外
理解し対応できるかという「能力の問題」もあるが、基本は「無責任」
自己の功名心は大きいが、国民や、同僚・部下の思いやりは皆無

180810 日本軍兵士 吉田裕 ☆☆☆ 兵士は消耗品 改善・革新は進まない
Ⅰ.太平洋戦争 
1.日本軍は人力馬力vs米軍はエンジン力 その差が兵士にのしかかった
飛行場建設などの土木工事のスピード格差 ブルドーザー・ダンプトラックで新設→制空権を
2.最大の犠牲者はアジアの人々 死者2,000万人
3.日本人戦死者310万人の9割は1944年以降の犠牲者
4.餓死の比率が高い 4-6割
5.水没者35万人 米軍潜水艦の活躍 
6.長期戦 兵士の気持ちが倦む 備えがない ex歯医者がいない 休暇制度がない
7.処置 傷病者へ自殺の強要・射殺

Ⅱ.異質な軍事思想
1.短期決戦
2.作戦至上主義 現地徴発=略奪
3.極端な精神主義 米英軍の過小評価「虚勢」

Ⅲ.過酷な軍務実態
1.リンチ私的制裁の横行 本来の秩序を維持できない
2.従軍期間の長期化長い者は7-8年 モラルダウン 軍紀の弛緩と退廃 
3.設営能力の圧倒的差(トラックと馬) 通信機器の遅れ(伝書鳩) 軍靴

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年11月10日
読了日 : 2018年8月9日
本棚登録日 : 2018年11月10日

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