
Lilithとは繭の中のぬばたまの夜。
Lilithとは挑みつづける孤高の少女。
Lilithとは何者にも平伏さない気高い獣。
Lilithとは夢幻の空間を舞う術を教示する歌。
Lilithとは無数の私の始源を無限に描写した絵画。
頁を繰る指先から火花が散り、湧き起こる風は一つの世界の上を渡る。あらゆるものの輪郭をなぞり、名付けてゆく風だ。そこでは魚が囀り、水が燃えることもあるだろう。空を流れる優麗な言葉を掴まえたくて繋ぎとめたくて、ゆっくりと息を吸いこむと、胸を鋼のような光で射抜かれる。恐ろしいほどの才能に震えた。
- レビュー投稿日
- 2021年1月12日
- 読了日
- 2021年1月12日
- 本棚登録日
- 2021年1月12日
『Lilith』のレビューへのコメント
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