退職し結婚直前で姿を消した真実。
真実が田舎にいた頃に知り合ったというストーカーの存在に怯えていた事から、婚約者の架は彼女の故郷に赴きその過去を紐解き始める…。


率直な感想を言うなら ま た か 。 って感じ。
「太陽の坐る場所」とか「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」とか「盲目的な恋と友情」とかで描かれた女のコンプレックスと無意識のマウンティング。
辻村先生、そのドロッとした部分を書くのは確かに上手いんだけど、毎回同じパターンでさすがに飽きました。
田舎の大人しくて親に逆らえないお嬢さんタイプ、毎回出てくるよなあ。
地元から出ない女性が全て地味で卑屈さを抱いてる訳じゃないし、都会で逞しく生きてる経験豊富な子が性格悪いとも限らないと思うんだけど。

パターン化し過ぎてるせいで割と最初の辺りで先は読めてしまったし、結果ありきで過程が省略されてる感じでラストも意外性やカタルシスは全く感じなかった。

最近の辻村作品は女のドロドロものか家族もの、もしくはやたら子供のいじめや不登校の話ばっかりで食傷気味。
どの作品でも辛い事があるなら逃げていい、と言いたいのは伝わるんだけど、他人だから言える無責任に感じなくもないし。
とりあえずデビュー時からの読者としてはもう少し色んなテーマや雰囲気の話が読みたいなあ…。

2019年5月23日

読書状況 読み終わった [2019年5月23日]
カテゴリ 文芸書

前作「屍人荘の殺人」前代未聞の事件、その起因に関わる班目機関の影を追い、葉村譲と剣崎比留子が訪れたのは予言者と恐れられる老女が暮らす人里離れた施設跡。
「二日のうちに男女二人ずつ四人が死ぬ」という予言が下されている中、外界との唯一の交通手段である橋が焼け落ち偶然その場に集まった人々はその施設内に閉じ込められる事になる。



前作を読んだ時に、面白かったけれどクローズドサークル内でのミステリの構造だけを説明され外枠の論理的説明がぶん投げられたままなのが不満だった。
続編という事で前回力技でねじ伏せられた部分が分かるのか?と思ったらやっぱりそこは謎のままなのか…もはやコナンの黒の組織みたい。
メインの二人がやけに落ち着いて前作の事は既に過去になっている雰囲気なのだけれど、描かれていないだけでこの世界の世間一般では夏の事件は大騒ぎになってるのかなあ。
死者の数とかテロとかそんなすぐに片付くわけない気がするのは私だけ?

今回もクローズドサークルで起こる事件だけれどホワイダニットがメイン。
今回も予言というファンタジック要素と強引さはあれど割と正統派な心理戦だったので、ロジックを考えながら読むのは楽しかった。

ただ最後にチラッと明かされた剣崎さんの心理は割と早いうちに気づいてしまい正直萎えた。
彼女のキャラクター造形はもちろんだけれど、少年漫画のラブコメの要素を被った共依存ぽい所が主人公二人をちょっと気持ち悪く思ってしまう原因かもしれない。
どうせなら毎回ホームズを失う話、だったら大胆過ぎて凄いなあと思ってたんだけどさすがにそんな事はなかった…。

2019年4月15日

読書状況 読み終わった [2019年4月15日]
カテゴリ 文芸書

今時三十代未婚女性が仕事や将来や恋愛や結婚に悩むネタは山程ありふれている。
いい加減食傷気味だと思いつつも、読むとやっぱり分かるなあと共感してしまう部分が誰にだってあるものだと思う。
実際キャリアアップや出産の期限は否応なくやって来るし、周りの人間の立場環境もどんどん変わって行く。
全体的にちょっと都合良すぎる展開が多い気はしたけれど、冒頭で扱い辛さが前面に出ていて苛々させられた部下の杉本君が意外と可愛い性格だったのは良かった。

2018年12月2日

読書状況 読み終わった [2018年12月2日]
カテゴリ 文芸書

魔鳥達の棲む廃墟の塔で、その獲物を集めて暮らす孤児「灰の雛」。
その一人アイシャはある日魔鳥に盗まれた宝石を探して欲しいとやって来た旅の剣士タスランと出会う。
アイシャが緑の琥珀を見つけた直後、彼女は魔鳥に襲われ塔から墜落、気がついた時には琥珀は彼女の胸に埋まってしまっていた。
依頼されて琥珀を運ぶ旅路の途中だったタスランはアイシャを連れて旅に出る。

「青の王」よりも時代は少し後。
今回も数奇な運命を背負った二人の男女が様々な出会いを経ながら旅をする構図だけれど、少年少女だった前作とは違い、タスランが一応大人なのでまた少し違った雰囲気。
怪我をしまくり悲惨な目に遭ってばかりな上に木乃伊職人だの死繰り人だのの描写はかなりグロテスクにも関わらず、タスランもアイシャも純粋で悲壮感がないので爽やかな話に仕上がっている。

前作未読でも読める作りにはなっているけれど、ハルーンやアバンザの名前が出て来たり懐かしい魔族が健在だったりと、「青の王」既読だと嬉しいオマケが。
前作の舞台でもあったナルマーンの行末がかなり怪しい雰囲気で気になるのにそこは詳しく触れられていなかったので、次作以降で触れられるのかな。
「赤の王」で終わるのかさらに次があるのか。
スピーディーかつ詰め込み過ぎる傾向はあれど設定や話の展開は毎回物凄くワクワクするので、シリーズの続刊がとても楽しみ。

2018年11月30日

読書状況 読み終わった [2018年11月30日]
カテゴリ 文芸書

ゲームマスター・レジェンドが主催する夢と魔法に溢れたショーでありゲームでありテーマパークであるカラヴァル。
祖母からカラヴァルの話を聞き、父親に虐待され領土のトリスダ島で半軟禁状態で暮らしながらもずっとカラヴァルに憧れ続けたスカーレットとドナテラの姉妹はスカーレットの結婚直前、とうとうカラヴァルからの招待状を手に入れる。
謎の船乗りジュリアンの手を借りて父親の目を盗み島を脱出した姉妹はカラヴァル到着直前にはぐれてしまう。
華やかで楽しい筈のカラヴァルでの予想外にシビアなルールと不穏な気配の中で、スカーレットはジュリアンと共に妹を探すために奔走する。


スカーレットの意固地な性格と足を引っ張りまくる行動に辟易しつつも、父の恐怖の檻から逃げ出し、見知らぬ男と一緒にカラヴァルに参加する前半は凄くワクワクしたし面白い。
けれど翻訳のせいか今一つカラヴァル自体の仕組みが分かりづらいのと、招待状がないと入れないはずの島にあっさり追っ手が現れたりと後半になる程唐突な展開が多くてついて行くのが大変だった。
レジェンドも結局何がしたいのかよく分からないし、ジュリアンとの関係もなんだか中途半端。
素材も調理法もいいのに仕上げが失敗してるせいで評価が上げられない、そんな感じ。
続刊のレジェンダリーを読めばもう少しカラヴァルの情景が浮かび易くなるんだろうか…

2018年11月19日

読書状況 読み終わった [2018年11月19日]
カテゴリ 文芸書

山奥の屋敷の座敷牢で微笑む白装束の少女ツナ。
ミミズクこと逸見瑞樹は両親を失い田舎に越してきた十年前からずっと週に一度その座敷牢に通い、彼女の望むままに蒐集してきた怪談を語って聞かせる。
胃潰瘍になろうともおかしな夢ばかり見ようとも、ただひたすら彼女の為に恐ろしい話を求めていた瑞樹の前に、ある時拝み屋を名乗る不思議な男が現れる…。
ホラーで伝奇ファンタジーでほんの少しSF風味なボーイミーツガールストーリー。

雑誌の記事の体で挟まれる実話系ホラー小話が結構怖い。
舞台設定もあって怯えながら読んでいたら、後半の展開で良い意味で意表を突かれ、けれど無理なく伏線も回収されて読後はスッキリ。
瑞樹に負けないレベルで怖がり故、都会の明るい夜がありがたい私にはどっちが憑いているんだろう…。

2018年11月17日

読書状況 読み終わった [2018年11月17日]
カテゴリ 文芸書

親元を離れ入ったオンボロの学生寮で、友親が出会った四年生の若菜。
彼らが籍を置くハナビこと花房美術大学を舞台に、家族に過去に未来に問題と悩みを抱える学生達の青春小説。

美大とか仲の悪いのにやたら絡んでくる義理の姉とか、ネタのせいで某漫画家の作品イメージがどうしても消えない。
あと登場人物が多くて話があちこち飛ぶので全体的に散漫になってるなあという印象は先に読んだタスキメシと同様。
元々展開に予想がついている上にエピソードが短過ぎてヨシキの魅力が今ひとつ見えてこないので悲愴性が意外とない。
小夜子なんて後半に入って登場して出番も少ないのに最後にはメインキャラみたいになっていたし。
友親の結論も若菜の結論も実は当初から何も変わっていないので何となく消化不良。
この中途半端さが青春小説だと言われればまあそうかなあ…。

2018年11月16日

読書状況 読み終わった [2018年11月16日]
カテゴリ 文芸書

都大路を目前にしての怪我により、陸上から心が離れつつある早馬。
その彼を歯痒く思いながら踏み込めない弟の春馬とチームメートの助川。
担任の稔は早馬を、料理研究部のたった一人の部員である都に引き合わせる。
早馬が都と共に料理をする内、彼らの心境にも少しずつ変化が現れる。
駅伝と料理とを掛け合わせた青春小説。

箱根の中継中、ちらっと挟まれる部員のエピソードから目一杯妄想して話を作ったらこんな感じだろうか。
走る面子は高校時代以上に激戦で一番苦労したはずの大学時代を箱根のシーン以外割愛されている為、早馬にしても春馬にしても都にしても甘っちょろい高校生のちょっとした反抗期といった印象。
登場人物を増やし過ぎて、さらに駅伝と料理も部活メシではない為上手く絡み切っておらず、また視点や時代もしょっちゅう飛ぶので話が散漫になってしまった気がする。
そもそも藤宮までがっつり絡ませてくる必要はあったんだろうか。稔なんてただのお節介教師にしかなっていないし。
ラストも想像通りで読み易いけれど大きな感動はなかった。
陸上長距離も駅伝も料理も個人的には大好きだけれど、掛け合わせても極上の美味、とはならず色々惜しい。残念。

2018年11月15日

読書状況 読み終わった [2018年11月15日]
カテゴリ 文芸書

「カササギ殺人事件」はあくまで作中作。
それを忘れる程に上巻のあの雰囲気に没頭していた者程、下巻を開いた途端にスーザンと同じ憤りを感じる羽目になる。
消えたミステリの結末、転落死した作家、間に合わなかった遺書の書き換え、作中作のモデル達、伏せられていた過去の関係、そして隠された暗号。
時代を現代に移し、新しい謎を振りまきながら下巻は全く別の展開を見せ初める。

古典ミステリの良さを存分に出しながら、下巻の展開と明かされた秘密はある意味とても現代的。
アラン・コンウェイの破天荒な性格が判明しても尚「カササギ殺人事件」は面白いし、それだけでシリーズ物として成立するだろうに、これを一冊限りのトリックとして作中作に丸ごと使ってしまう甘美な贅沢さ。
まさしくミステリファンへのプレゼントだった。
訳で読んでいる以上アナグラムはどうしようもない。けれど暗号に関しては訳者さんに心から拍手。

2018年11月15日

読書状況 読み終わった [2018年11月15日]
カテゴリ 文芸書

イギリスの片田舎を舞台に、繰り返される悲劇。
溺死した少年、転落死した家政婦、首をはねられた准男爵。
殺された犬の首輪、謎の手紙、奪われた銀細工、燃やされた肖像画、不審な男。
村の住人達にはそれぞれ少しずつ他人には明かせない秘密と悪意が見え隠れする。
余命僅かと診断された名探偵アティカス・ピュントは助手であるジェイムズ・フレイザーと共にこのサクスビー・オン・エイヴォンに赴き、真相を追い始める…。

「カササギ殺人事件」はあくまで作中作。
けれど本編中に挟まれる書評の通り、雰囲気といい展開といい、クリスティ好きにはたまらない古典ミステリのオマージュとして成立している。
上巻はこの事件についてピュントが謎は解けたと宣言する所で閉じられる。
ここで下巻に続く事にも大きな意味があるけれど、とにかく早く続きを読みたくなること請け合い。

2018年11月15日

読書状況 読み終わった [2018年11月15日]
カテゴリ 文芸書

稀少なオスの三毛の化け猫である谷中千歳は大学生の振りをして生活しつつ、ドーナツ屋で働く愛宕椿と清い交際中。
ある日突然彼女の父親と対面する事になった千歳はそこで衝撃の事実を知る…。

タイトルもあらすじもそして表紙イラストも決して嘘はついていない。
けれど、本編の中であらすじに書かれていない部分が読前になんとなくイメージしていたハートフルコメディな雰囲気とは大きく違う。
ハートフルではあるけれど、実は結構なハードボイルド。
椿の印象も前半と後半ではガラリと変わり、良い意味で裏切られて楽しめた。
千歳の家族については少し触れられるだけだったので、いずれ続編が読めるのかもしれない。

2018年11月7日

読書状況 読み終わった [2018年11月7日]
カテゴリ 文芸書

固定のメニューのない、客ごとにシェフ伊勢がオーダーを組みその人に合わせたコースを作るビストロ三軒亭。
役者の夢に行き詰った神坂隆一は姉京子に紹介されたこの店でギャルソンとして働く事になる。
一見ただ美味しい料理を食べに来ているだけに見える客達にもそれぞれに秘密や悩みがあり、隆一は彼女達のトラブルを解決するべく店のスタッフ達と奔走する。

料理の描写は美味しそう。でも本当にそれだけ。
やけに説明的で不自然なセリフや行動は多いし、各章ごとのトラブルと出される料理に関連性がなく、その為にいくら料理を美味しそうに描写されても全く調和していない。
そのトラブルも基本個人の気持ちの問題ばかりで謎という程でもないし、ちょっと追いかけて対話しただけでスルスル解決。
そもそもいくら小さいと言ってもカウンター席に複数のテーブル席テラス席があって客ごとに料理を変えている店なのにシェフがたった一人きりで、逆にギャルソンが常時三人なんてスタッフの構成としておかし過ぎる。
あとドッグカフェでもないのにペットを突然連れ込み可にする辺り、好き嫌い以前に衛生面の問題や動物アレルギーのある客の事は一切考えていないのが丸わかりで、料理人としてどうなのかと思ってしまった。
大層なタイトルをつけてグルメミステリーだというなら、もっとリアリティのある設定にして欲しいし、料理ががっつり謎に絡んでいて欲しい。

2018年10月31日

読書状況 読み終わった [2018年10月31日]
カテゴリ 文芸書

表紙と帯からイラスト、あとがきに至るまで、トリック尽くし。
いきなり本文冒頭に読者への挑戦状を配し、これは叙述トリックを使った小説ですと宣言する大胆な連作短編集。

子供の頃にクリスティの名作で衝撃の洗礼を受けて以来、叙述トリック大好きな私。
それ故ミステリーに関してはすっかり重箱の隅をつつくような、引っかかった部分をパターンに分けて疑いながら読み進める癖がついてしまった。
「ちゃんと流す神様」に関しては事件そのものの方を疑い過ぎて「え、そっち?」となってしまったけれど、お蔭で「背中合わせの恋人」「なんとなく買った本の結末」「貧乏荘の怪事件」「ニッポンを背負うこけし」はトリックが読めて、そんな自分に拍手。
特に「こけし」でそこまでに抱いてきた疑念が正解だと分かった時は、叫びたくなる程痛快だった。
多分タイトルがこれでなければここまで穿った読み方はしなかっただろうけど。

出落ちな作品かと思いきや、分かったー!の爽快感も騙された!の悔しさも、どちらでも楽しい。
ちなみに濁点が要る、というのは今回初めて知りました…。

2018年10月26日

読書状況 読み終わった [2018年10月26日]
カテゴリ 文芸書

福井県内の強豪福蜂工業を撃破して春高こと全国バレーボール高等学校選手権大会への出場権を得た清陰高校男子バレーボール部。
今回は丸ごと東京体育館で行われたその春高編。

春高常連校でもなく、部員もギリギリの8人の無名校が一気にそして楽に勝ちあがれる程春高は甘くない。
今回も福岡の箕宿、東京の景星と魅力的かつ高い壁が立ちはだかる。

今回は出番殆どないかと思われたキャラが嬉しい役割を得ていて冒頭喜んだのも束の間、清陰はもちろん箕宿と景星のそれぞれの抱える感情に振り回され、試合描写に熱くなる。
個人的にバレーボール観戦が好きな事もあり、読んでいて本当にバレーの試合の展開が目に浮かぶ描写が相変わらず凄い。

…が、最後の最後。
予想もしてなかったまさかの展開に、既にそこまでで号泣して声がまともに出せなくなっていても、大声で叫びたくなった。
ユニチカーーーーーーーーー!!!!!!!!

読み終わって全ての巻の表紙を見返すと、さらに涙が溢れて止まらない。
どんどん先へ進んでいる彼らに追いつけず、しばらくは放心状態。
多分まだシリーズとして続くと思うのだけれど、続きが早く読みたいような、読むのが辛くなりそうな…。

2018年10月21日

読書状況 読み終わった [2018年10月21日]
カテゴリ 文芸書

平穏な日常を退屈と捉えるちょっとませた小学五年生の樹羅野白亜。
彼女は魅力的な謎と刺激を求めて「探偵」を始め、小学校内の臥龍梅の根元に赤いハイヒールと赤い付け爪という不自然なものが置かれているのを発見する。
誰が何のために置いたのか、それを追う内に彼女は街の中に潜む古代生物に出会ってしまう…。

「ジュラシッ区」。
この物凄いパワーワードで力技にねじ伏せてくるこの作品。
タイトルから恐竜が関わってくるのは事前に分かっていたけれど、現代日本を舞台にしてどう登場するのかと思っていたら、まさかのそういう形か…!
児童書らしくスピーディーかつハラハラドキドキに多少の荒唐無稽さの味付けをした冒険活劇で、白亜程詳しくはないけれどジュラシックパーク全シリーズとREXを映画館で見た身としてはとても楽しめた。
ただトオルさんが正統派ヒーローで格好いいのに対し、雄一の扱いが最後まで不憫過ぎて可哀想というかちょっと笑える…。

2018年10月20日

読書状況 読み終わった [2018年10月20日]
カテゴリ 文芸書

前巻は儀式の荒唐無稽さや黒幕の狙いがよく分からない事、ピンチらしいピンチも少なかったのもあり、リヴの口調や性格も相まって楽しいラブコメファンタジー要素が圧倒的に強かった。
けれど今回は悪意が明確になって来た分、スリリングな展開にハラハラするシーンが多い。
特に敵対するキャラが皆ことごとく狂気に満ちていて、ちょっと背筋が寒くなった。

そしてヘンリーとグレイソンが人気を二分するの、よく分かる。
最高の彼氏に最高の兄、リヴが心底羨ましい…。
ただ二人は格好いいけれど、シビアな展開が続いた分ジャスパーの緩い空気が恋しくなるのもまた事実。
新たな参戦もあったりで、前巻以上に続きが気になる終わり方だった。
時間旅行者の系譜が綺麗に伏線回収した上でスカッと爽快な完結をしてくれたので、今作も期待してしまう。
最終巻が楽しみ!

2018年10月16日

読書状況 読み終わった [2018年10月16日]
カテゴリ 文芸書

転校してきたばかりの女子中学生が、全身緑の不気味な「夏の人」の指名により何故か不思議な城で夏休みを過ごす事になる、ジュブナイルテイストのファンタジーホラー。

子供達しかいない生活に謎のルール。
最初は戸惑っていたはずの非日常に慣れて受け入れて行ってしまうのが一番怖い。
対になる物語があるとは言え、全てが明らかになったわけではなくあえて謎を残すのがまたほんのりとした怖さの余韻を引く。
個人的にミステリーランド版の装幀がとても好きなので、文庫化でデザインが変わってしまったのが少し残念。

2018年10月15日

読書状況 読み終わった [2018年10月15日]
カテゴリ 文芸書

江戸時代の「黎明編」から太平洋戦争を挟んでの「戦前編」「戦後編」まで五十人を越える探偵役が登場する探偵小説オールスター。

別々の場所でバラバラに起こった殺人を調べた各探偵が、いつの間にか横のつながりで情報を共有していて最後に揃って巨大な陰謀を暴く、という形式は黎明編も戦前戦後編も同じ。
三つの事件に何かつながりがあるのかと思ったけれど時代の隔たりもあるので三部作はほぼそれぞれ独立したストーリーになっている。
巻末に探偵名鑑が付属していて一通り紹介されているとは言え、本自体があまり分厚いものでもないのにこの人数なので、ほんの一瞬しか顔を出さない探偵も多い。
読む方も事件の真相をあれこれ推理しながら読むのではなく、こんな人が出て来たあんな人が出て来たと思ったらあっという間に解決してしまうので、あくまでこれは名探偵達の競演を楽しむお祭り小説なのだと思う。

完全に新本格以降世代の私は、これだけの探偵が揃っていても既読の探偵役は残念ながら銭形平次・法水麟太郎・帆村荘六・神津恭介に乱歩作品の面々と巻末に載っていないけれど実は出てくる「彼」くらいだった…。
知ってるキャラクターが多ければもっと楽しめると思うのでちょっと残念。
つい新作にばっかり手を出してしまうけれど、時には古典を遡って見たり、既読の作品を読み返すのもいいかもしれない。

2018年10月12日

読書状況 読み終わった [2018年10月12日]
カテゴリ 文芸書

遥とマーリン、アルトとバンちゃん。
去年までは縁遠かった恋愛と、少しずつ迫ってくる受験と将来の選択。
男女四人の友情を軸にした高校二年生のキラキラした一年間。

将来についてなんて、高校生の時点でそこまで決められないというのは凄く分かる。
そりゃあ周りが自分の道を真っ直ぐに決めてたら置いてかれた感じで焦るだろうなあと。
逆に恋愛部分はもどかしいというかくすぐったいというか。
正直、中学生ならまだ分かるけれどちょっと現代の高校生でそれは初心過ぎないか…。
健全で素直過ぎて、「大人から見て一番安心できる高校生の恋愛」という感じのする所が少しご都合的かなという気がしてしまった。
多分リアルに高校生が読んで共感するよりは、大人が読んでほんのり懐かしく甘酸っぱい気持ちになれそうな青春小説。

2018年10月9日

読書状況 読み終わった [2018年10月9日]
カテゴリ 文芸書

街で家出した未成年の女の子を拾ってそのまま偽装結婚、なんていうそもそも無茶過ぎる設定はまあ目を瞑るとして。
婚約者が彼女の親友と失踪する話、いい話風にまとめてるけどこれ本人達だけの問題じゃないからそんなほっこり終わっていい訳がなく最低じゃないだろうか。
全体的にちらっと会っただけの他人が平気で次々に家を訪問して来るのも無理がある。
椿を探したら許すとか、常識的に考えたらその場面でそんな素っ頓狂な条件普通つけないでしょう…。

どれもこれも設定の為、主人公カップルのほのぼの描写の為の強引な展開臭が強過ぎてる全く話に入り込めない。
この作者さんの作品はどれもこの傾向が強いような…もう今後手を出す事はないな、と感じた一冊。

2018年10月8日

読書状況 読み終わった [2018年10月8日]
カテゴリ 文芸書

フェイスブックで偶然見つけた元カノの名前。
中年になって思い出す、少々ハードボイルドテイストな二十代、そして一番夢中になった恋。

裏社会に脚を突っ込みかけている主人公の人生の断片はどれも決してお綺麗なエピソードではない。
それでも、読み進める毎にある程度歳が行った男性特有のロマンチシズムをたっぷりと感じる。
彼女が何故突然主人公の元を去ったのか、話の中でははっきり書かれてないけれど多分その理由は男性側からは分からないからじゃないかな。
女である自分は何となく想像がつく気はするし、さらっと別れを選んだ彼女に共感してしまう部分がある。

2018年10月4日

読書状況 読み終わった [2018年10月4日]
カテゴリ 文芸書

それぞれ多様な価値観とそれに対する不安と矛盾を抱えて学生生活を送る少女達。
彼女達の他者との関わり、そしてすれ違いを描いた連作短編集。

期待して読み始めた割に拍子抜けな気分になったのは、キャラクターの造形がテンプレートの域を全く出ていなくて新鮮さがなかったから。
友人への嫉妬、他者を見下す青臭い価値観、ジェンダーレス願望、早熟な行動派美少女、評価ばかり気にする優等生。
枠からはみ出しているキャラを書いているようでいて、結局他でも見たようなキャラと使い尽くされた既視感のあるネタばかり。
あっという間に読み終わってしまって、今時の青春物の習作を読まされたような気分になった。

2018年10月3日

読書状況 読み終わった [2018年10月3日]
カテゴリ 文芸書

‪文化祭当日、扉の開かないシャワールーム内で女生徒が死んでいるのが見つかった。元男子バレーボール部マネージャー、素直で前向きで男子生徒の憧れの的だった彼女が何故そんな日にそんな場所で死ぬ事になったのか、クラスメイト達はそれぞれの疑問を追及し始める。

進路の悩みに秘めた恋と微妙な友情、それ故にすれ違った彼らの様子が少しずつ浮かび上がってきて、痛々しくもどこか懐かしくて切ない気分にさせられる。
密室の構造や作り方も、犯人にたどり着くまでの推理も無理がなく分かりやすくて論理的。
上質なトリックと学生特有の短絡的だったり身勝手だったりする青さを詰め込んだ学園群像ミステリー。
面白かったけど、そこそこ大きい学校や店舗があるっぽいのに携帯の電波が殆ど通じない町というのは実在するんだろうか…。

2018年10月3日

読書状況 読み終わった [2018年10月3日]
カテゴリ 文芸書

神戸に暮らす小学生の聖太郎と光博、家庭環境の全く違う二人がお菓子を通じて仲良くなり、成長していくうちに疎遠になってそれぞれに転機を迎え、お互いの進む道を見つける迄の物語。

凜々花含めて三人のどの嫉妬も焦燥感も凄く分かる。
他人を羨んでも仕方ないと分かっていても、急に裕福にはなれないし、才能は突然降っては来ないし、ハングリー精神も培われない。

登場人物達はそれぞれにほろ苦い経験をしつつも未来を感じさせてくれて、これは一冊通して完全にプロローグだと思う。
完結した所からの「これから」の物語なんだけれど、でもそこがいい!

2018年9月30日

読書状況 読み終わった [2018年9月30日]
カテゴリ 文芸書
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