おおかみと七ひきのこやぎ (世界傑作絵本シリーズ)

  • 福音館書店 (1967年4月1日発売)
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本棚登録 : 1746
感想 : 124
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言わずもがなの『おおかみと七ひきのこやぎ』ですが、評価に迷うところです。
昔話は残酷な面(食べられるとか死んでしまうとか)を割愛してはいけないという話を聞きますが、あれはどうしてなのでしょうかね?正しく因果応報を理解すべきだから?変にぬるくしてしまうと物語の趣旨が違ってきてしまうとか、因果が成り立たなくなるとか、そんなことだったでしょうか。あと、子どもは、「死んでしまいました。」とか「食べました。」とかを意外とすんなり受け入れるみたいな話も聞いたことがあると思うのですが、それも本当なのかな?と思います。
『三びきのこぶた』の食べられる、食べるバージョンについては、私は大丈夫なのですが、というかむしろそのバージョンの絵本を好んで読むのですが、実は『かちかちやま』のおばあさん食べられるバージョンのやつは毎回疑問に思ってしまって、読み聞かせをしたことがありません。自分の勝手な思い込みかなぁとも思うのですが、自分で読んでいてもちょっとしんどくなってしまうんですよね。というひどく個人的な見地から、この『おおかみと七ひきのこやぎ』も若干引くなぁという要素がありました。まぁ、おおかみが完全悪であるとすると、報復されても文句は言えないですし、おおかみはこやぎを6匹も食べてしまっていますから、おかあさんヤギに何をされても仕方のないことですかね。と思いつつも、寝ているおおかみのお腹を躊躇いなくハサミで切り開くおかあさんヤギは、いくらおおかみが寝ているとは言え、「つよっ!こわっ!」の感想を抱きました。まぁお母さんからしたら、こどもを食べられた恨み以外の何物もないですからね。しかしまぁ、空いたお腹に石を詰めて、溺れさせてしまうなんて、恨みの力いと恐ろしです。(溺れてしまったのは実際はおおかみの過失ですね。)
そして極めつけが、溺れ死んだおおかみの周りで、「おおかみしんだ!おおかみしんだ!」と叫びながら喜びの踊りを踊るヤギ家族ですよ。宿敵とは言え、やっぱり怖い。イラストも恍惚の表情ですよ。そしてその夜、ベッドに入ってすやすやと眠る七匹の子ヤギとそれを見守るおかあさんヤギなのでした。ちゃんちゃん。
…って、やっぱり怖いよ!

というわけで表紙に戻ると、グリム童話とありました。そうか。妙に納得してしまったのでした。グリム童話怖いのいっぱいありますもんね。
第三者のわたくしとしては、いやでもおおかみだって、ヤギを食べるのは食物連鎖的にまっとうなことなんだし、なんて思ってしまうのですが、多分その見方は間違ってるよねということはなんとなくわかりました。ヤギを主人公にしたお話としては、そんなに違和感のある流れではないのかな。きっと子どもの頃にはそんなに疑問に思わなかったことが妙に引っかかる今日このごろです。というか、私達の周りにもしおおかみやらクマやらが出たら、駆除したら、ぐっすりすやすや眠れますよね、たしかに。なんで私はおおかみに感情移入しているんだか。ヤギの絵が怖すぎるからかもしれない。読み物としてはおもしろいのかもしれないですね。

読み聞かせ、10分強かな?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本
感想投稿日 : 2020年5月25日
読了日 : 2020年5月23日
本棚登録日 : 2020年5月23日

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