一揆の原理 (ちくま学芸文庫 コ 44-1)

著者 :
  • 筑摩書房 (2015年12月9日発売)
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本棚登録 : 283
感想 : 21
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本屋で見かけて購入。非常におもしろかった。一揆を、政権打倒を目指す「革命」や「階級闘争」とみなすマルクス主義歴史学的な見方を否定し、実際は政権の存続を認めた上での「訴訟の一種」「したたかな交渉」だったという研究成果。中世は百姓だけでなく武士も僧侶も一揆を結んでいた、集団だけでなく個人でも一揆を結んでいた、一揆はいわば「契約」だった、等おもしろい話の連続。 
そして一揆を単に昔の出来事で終わらせず、日本人が社会の変化にどう対応して来たかという話につながるのが良い。中世の人々は既存の人間関係を見直し、一揆という「契約」によって新たな人間関係を創出することで危機を乗り越えようとしたという。現代も家族や企業や国家といった既存の共同体が弱まって、中世と同じ状況ではないかと問うている。 
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)だけが答えとは思えなかったが、自分の仕事の進め方で一揆を結ぶように団結するというのはありと思った。 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年5月2日
読了日 : 2021年4月25日
本棚登録日 : 2021年4月14日

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