苦役列車、暗渠の宿、どうで死ぬ身の一踊り、の中で一番印象に残った二篇が収録された一冊。
「けがれなき酒のへど」で主人公の切実な欲求と純粋さに心温まった…のも束の間、表題作「暗渠の宿」で、安易に心温まった自分を嘲笑されているかのような気分に。主人公が、自らの劣等感から生まれる不安や苛立ちを相手への不信に転化してしまう内面の描写は、読み続けるのが苦しくなるほどリアルだった。
そして、読んでいて苦しくなればなるほど、結局人間そんなものなんだよ、誇りたかきクズだよなーと鼻で笑う作者や読者が目に浮かぶ。
もしかしたら、この本、真面目に苦しみながら読んだりせず、お酒の肴にして笑いながら読んだほうが良かったのかも、、そして、この主人公(作者)に、全く共感できず嫌悪できる女子たちが、いわゆる勝ち組なのかも、、と勝手に思った。ので、面白かった、と大声で言うのはやめておきたい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2012年12月9日
- 読了日 : 2012年12月9日
- 本棚登録日 : 2012年12月9日
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