美術展の裏側ではどんなやりとりがあるのだろう、開催までの過程にはどれだけの人が関わっているのだろうと、興味があったので読んでみました。
筆者はフリーのコーディネーター。裏側をドキュメンタリータッチに描いているのかな、と思っていたのでいい意味で裏切られあっという間に読了。
この機会を逃したら、あの作品は海をわたれない。そんなおおきな鍵を握る交渉にはマニュアルも当然存在せず、丁寧な準備と臨機応変な対応がすべて。そんなシーンが多く描かれているのに、何故か穏やかな気持ちで読み進めて行けるのは、「出会い」を大切にする足澤さんのお人柄でしょうか。シビアな状況にあっても、相手の人格そのものにふれ、心を通わせることに時間を惜しまない。私も働いていく上で大事にしていきたいものです。
家庭の問題を抱えた筆者を色々な距離感で暖かく励ますパリの友人たち、美術品を梱包するテープひとつにも「美」を追求する技術者たち、それがフランスの国民性とくくるのはいささか乱暴すぎるけれど、その素敵な価値観に触れられたこともこの本を読んでの収穫です。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年1月13日
- 読了日 : 2014年1月13日
- 本棚登録日 : 2014年1月13日
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