ローマ人の物語 (28) すべての道はローマに通ず(下) (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2006年9月28日発売)
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各家庭が利用可能な上下水道、公的資金により安価で利用可能な公衆浴場、自由市場として他国民にまで広く開かれた医療・教育制度。
なぜ初めてといってもよい帝国づくりで、このような数百年も継続可能な基盤を作ることができたのか。
本書はローマのインフラまとめの後編として、そのシステムの詳細を語る本ではあるのだが、その理由については考察されない。
既刊を振り返れば、もちろんローマとて常に成功しかなかったわけではなく、多くの内戦やクーデター、自然災害に侵略など、数多くの崩壊の危機を乗り越えてきた結果だということが思い起こせる。
だが、世の中に改善と進化しかないならば、ローマ帝国は滅亡しないし、インフラシステムは後世に引き継がれていたはずだ。

五賢帝により盤石となったパクス・ロマーナは、なぜ継続することができなかったのか。
強大な外敵、突然の自然災害、さらには劣悪な指導者にさえ打ち勝つシステムが備わっていたローマは、いかにして衰退するのか。
続刊に続く。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年6月30日
読了日 : 2019年6月30日
本棚登録日 : 2019年6月30日

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