戦前の皇室祭祀は、ほぼ全部明治維新後に定められた。
復古と言いながら、明治政府の存在理由の権威付けにすぎない。
「伝統」は、政権の統治のあり方に基づいて発明される。
革新左翼は人間が理性を使って正しく設計すれば、未来はよい方向に変革できると考える。右翼は、人間の理性だけでは、理想社会は実現できると考えず、長い歴史の中で蓄積された経験や伝統といった「人智を超えたもの」を重視するべきと考える。ありもしなかった過去のよき社会を復古させることができれば、ユートピアを実現できると。
何が無謀な戦争に向かわせ、国民の自由を奪っていったのか、しっかりと自覚できていない。ゆえに「憲法を押し付けられたせいで、日本は主体性を失ったから、憲法を改正し、明治の体制に戻れば、本当の強い日本を取り戻せる」という単純な議論が罷り通る。長州という通奏低音が響く自民党は、戦後レジームの解体などと言いながら、アメリカ追従という矛盾に満ちたことをしている。
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カテゴリ:
316 政治 国家と個人・宗教・民族
- 感想投稿日 : 2021年11月20日
- 読了日 : 2021年11月20日
- 本棚登録日 : 2021年11月20日
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