いよいよ最後。
キリス・ウンゴルの塔
残りは後一冊。何かしら寂しい。もっと長く話が続けばよいのに。この所東京の夜景を見下ろすと(オフィスは高いところにあり烏がよくビルの周りを飛び回っているんだなー)、モルドールの国を眺めているような気がする。特に夕闇の中で遠く西を見渡すと、彼方にエフェル・ドゥアスが横たわり、その向こうにオルドルインがそびえ立っているのが見える。霧に霞む朝の都庁を見上げるとオルサンクの塔に見えてくる。病気だ。
影の国
フロドは何か変わってしまった。ただ運命のまにまに流されているようだ。シェロブの巣穴から逃れ出たときから既に崩壊は始まっていたのだろう。
灰色港
終わってしまった。また読もう。
やはり、「ホビット庄の掃蕩」の存在が不思議な印象を残す。「家路」の後、「灰色港」に直接つなげても(ホビット庄に帰ってから灰色港に旅立つまでのホビット庄での簡単な後日談を追加して)構わないような気がする。ホビットの冒険でも単純なめでたしめでたしで終わらせなかった(話を冒険から現実に戻す)ことから、トールキンが最後にちょっと異質な挿話でこの物語全体に唯のファンタジーに終わらせたくない意思があったと考えられるが。
・ホビットは純粋無垢な存在でないこと。
・周りの世界と無関係に小さな平和を教授できないこと。
・小さきものにも勇気が必要であること。
等など、いろいろ理屈を考えてみてもしっくりこないが、確かにこの章があったほうが良いという感覚は残る。フロド、サム、メリー、ピピンが旅で得たもの、成長した証しをただ単に語るよりも、サウロンとその一味に対抗する話で示すことで読者に強く印象を残すことができる。
最後の寺島龍一さんの挿絵がとてもいいです。
- 感想投稿日 : 2018年10月21日
- 読了日 : 2004年12月3日
- 本棚登録日 : 2018年10月14日
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