鹽壺の匙 (新潮文庫)

3.64
  • (20)
  • (27)
  • (49)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 324
レビュー : 30
著者 :
eye76さん 小説-日本   読み終わった 

初読

私小説という事もあり、
読む時期次第では暗い影に囚われてしまったかもしれない。
やるせなさを仕方ないと思えなかった若い頃は
やはり何かを、いや何もかもをも諦めていなかったのかもしれないな。

未来は暗い、日本は衰退する(している)
と言いながら、すっかり明るく清潔な東京で暮らしていると
父母、祖父母、曾祖父と少し遡るだけで
ここまで影は濃かったと思い出す

「吃りの父が歌った軍歌」
は父母弟の回想。他人の過ちを見過ごす事の出来ない父、
あまりにも自分と違う性質の弟。
百舌を殺した猫への強烈な仕打ちをも書いているのだけど
不思議と嫌悪は生まれない。暗く、哀しいのに、
どこか感情から解き放たれてるような…不思議な文章だ。

「鹽壺の匙」
曾祖父、祖母、自殺した叔父。
異質な静謐な叔父。
婿養子の祖父のレコードの下り、ズシッとくるわー…

巻末の吉本隆明の評論はかなりこの本の理解を深めるものなのだろうけど、
悲しい事に字面を読めてはいても理解出来ているか大変心もとないのであった、、、

レビュー投稿日
2018年6月13日
読了日
2018年6月13日
本棚登録日
2018年6月13日
0
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『鹽壺の匙 (新潮文庫)』のレビューをもっとみる

『鹽壺の匙 (新潮文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

『鹽壺の匙 (新潮文庫)』にeye76さんがつけたタグ

ツイートする