ソロモンの指環 動物行動学入門

  • 早川書房 (2006年6月23日発売)
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“刷り込み”の研究者で、近代動物行動学の確立に寄与したコンラート・ローレンツ(1903~1989)。1973年には「個体的および社会的行動様式の組織化と誘発に関する研究」でノーベル賞を受賞。

専門的な知識がゼロでも楽しく読める、まさに動物行動学の入門書。

まえがきによると、本書執筆の根底には「無知ゆえに動物を擬人化させて誤魔化す作者や作品」に対する怒りがある、とのこと。
動物たちに対する正確な観察から得られる感動は、作り上げられた人間っぽさが狙うわざとらしいお涙頂戴とは根本的に違うんだ!みたいな、ローレンツの動物愛が全編に渡って炸裂しています。大好きなものについて語る人の話は、それを聞く人をも笑顔にするのだな。

鳥や魚、ハムスター、犬など、我々にとっても身近な、けれども実はよく知られていない生き物たちにまつわる全12章。

最後の第12章「モラルと武器」にはシビれました。
牙や爪が発達した肉食の動物は、同族同士で争っても相手が「降参」の意を示したら、それ以上攻撃できないんだって。殺すまでケンカしちゃうと結局“種”のためにならないもんね。
ところが、獲物を捕食するための武器を持っていない動物(本書に紹介されているのはハトとシカ)は、肉食動物みたいな「抑制」もなくて、人間が設けた檻みたいに逃げ場がないような不自然な状況下では、勝者が敗者をいじめ殺すという惨い事態が起きてしまう。

本来、力のあるものには、力の使い方がセットで備わっている。
元々力のないもの、力の使い方を知らないものが力を得ると、おぞましい同族殺しをやりかねない。

ね。動物を擬人化させるどころか、人間様こそ今一度動物の在り様を参考にさせていただいたほうが宜しいんじゃないですかって、ちょっと痛快ですよね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2014年1月26日
読了日 : 2014年1月25日
本棚登録日 : 2014年1月26日

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