裁判傍聴漫画を連載中に、実弟逮捕の知らせを受けた作者。
9ヶ月間に渡る全8回の公判と、その間の被告人の家族としての心情を描いた、渾身の作品。
いつもは傍聴する側だった作者が傍聴される側になる事で、常日頃題材にしている裁判というものの見つめ方に、より厚みが増して行く様がリアルです。
しかし、単に「実話だから」ではなく、「当事者の身内が描いたものだから」がこの作品の眼目。
新聞・テレビで連日報道されるような事件は、結局のところ他人事だと思うから、下された判決に対しても重いだの軽いだの言えてしまう。しかし証言台に立つ被告人が、物心つく前から一緒に育ってきた兄弟だったら……。
家族だからこそ口を突いて出た「判決が軽くなることを望んでいない!」の重さに、胸が塞がりました。
また、北尾トロ氏が解説でも述べられていますが、一番恐ろしかったのが兄弟間のコミュニケーション不全。留置場での面会シーンはトラウマになりそうです。これだけ表現力のある漫画家さんがこんな風に描くんだから、きっと現実にこんな感じだったんでしょうね……。
第4回公判の「それ普通のことだよ」、第5回公判の「あなた そんなに悪いことしてないんじゃないの?」裁判長って超怖い。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
漫画
- 感想投稿日 : 2013年4月11日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2013年4月11日
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