本書は、イヤミスならぬゲスミスとでも云いましょうか、うだる様な暑い夏の、嫌〜なじっとり感を凝縮したような「不快な」一冊です! 今の季節にピッタリ! そう、「救いのない」小説なんです。
でもこれが、不快で救いがないけど不思議と嫌いじゃない、というのが私の本音です。(変? もしやのM?)
誰かー、同調してくれる人いませんかー?
登場人物は、皆生きていくことにだらしない人間ばかりで、生活保護と不正受給とヤクザが絡み、自業自得で泥沼に陥る、というか堕ちていく話です。これが延々と続くので〝黒〟小説なんです。
転落、孤独、貧困、ネグレクト、絶望、悲劇‥、内容を形容する陰鬱な言葉には、事欠きません。
この物語がどう帰着するのかと想像しながら、それでも先が気になります。読み進めるのに意外に苦痛が伴わないのは、筆者の筆力の賜なのでしょう。
人間の心の領域には誰しもグレー部分があって、外部刺激で簡単にブラックへ移行する例は、枚挙にいとまがないと思います。道を踏み外すのは簡単なのだと考えると恐ろしいです。
最終盤、多くの人間が交錯し、狂騒を超えてコメディかとも受け取れるクライマックスの滑稽さは、恐怖と脱力が同居する展開です。
評価は分かれるかも‥ですが、この〝おぞましき〟読後感をぜひご堪能あれ!
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年7月23日
- 読了日 : 2023年7月23日
- 本棚登録日 : 2023年7月23日
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コメント 4件
おびのりさんのコメント
2023/07/23
NO Book & Coffee NO LIFEさんのコメント
2023/07/23
おびのりさんのコメント
2023/07/23
NO Book & Coffee NO LIFEさんのコメント
2023/07/23