優しい音楽<新装版> (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社 (2019年6月12日発売)
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本棚登録 : 3178
感想 : 229
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 少し変わった出会いが不思議な交流へつながり、温かな心の触れ合いが新しい世界へ誘います。日常にある幸せや大切なことに気付かせてくれる短編集だと思いました。

 とは言うものの、3編とも設定・展開がやや非現実的で、共感を得られにくいかもしれません。しかし、これも瀬尾ワールドでは想定内です。あり得ないこと(=頭の中で混乱)と許容してしまう和みの同居があるんですね。
 瀬尾まいこさんの物語に何を求めるか、と言われたら、私の場合は〝癒し〟がその筆頭です。私にも人並みに(?)不寛容というか度量の小ささはありますが、読後はホッコリと自分を素直で優しい気持ちにさせてくれます。この辺が瀬尾さんの力量であり、筆致力の為せる技なのだと思います。

 瀬尾さんの物語には、登場人物たちが根本的に皆優しく悪人がいない、と思わせてくれます。そして人同士の関係性が温かいため、物語の空気は不思議と明るいと感じさせてくれます。
 だからこそ、読み手に「自分の人生まんざら捨てたもんじゃないかな?」と思わせてくれるのではないでしょうか。

 文庫帯に「本屋大賞受賞(2019)作家最新刊」とありますが、2008年刊行文庫の新装版として2019年6月発行なのですね。デビュー作『卵の緒』に相通ずる秀作だと感じました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年5月21日
読了日 : 2023年5月21日
本棚登録日 : 2023年5月21日

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