短歌は最強アイテム――高校生活の悩みに効きます (岩波ジュニア新書)

著者 :
  • 岩波書店 (2017年11月22日発売)
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本棚登録 : 121
感想 : 18
4

千葉聡さんの歌文集ですね。
 正確にはエッセイなのですが、随所に短歌が紹介されていて、千葉さんの短歌コーナーもあります。
 高校の国語の先生として、クラスの担任として、部活動の顧問として、かなり充実した教師生活を短歌を基軸に生徒さんとの交流を綴られています。

  カーディガンのまるい背中に射していた
    薄日も消えて授業は終わる

 先生は先生だけど本棚にもたれて
   一瞬夢みたりする
 
 「冷たいってきれい」化学のレポートを
   折って見上げる冬の青空

 あしびきの長々し夜を研究書読み、
   山と積み 崩れて夜明け

 西階段踊り場に射すため長く
   長く引き伸ばされて、光は

 明日の小テストを印刷する
   窓の外には窓のぶんだけ夜空

 今日ここにいない誰かの輪郭を
   懐かしんでるグランドの風

 教師とは幻 みんなが去ったあと
   教室に一人影を落として

 グランドの向こうのビルのもっと向こう
   君の見ていた空から風が

 帰る人、ここに来た人、行くあてのない人、
   みんなを抱け音楽よ

 しゃがみこみミミズが描いた海底の
   城の尖塔高く高くあれ

 文化祭準備期間に突入し
   絵具の手で食うパンとおにぎり

 短歌とは今だけの今のこの子らの
   吐息のあたたかさをうたうこと

 二十四の倍の瞳に見つめられ
   太宰の魅力を熱く緩く語る

 交差点の見える席で食うイチゴパフェ
   本はかばんの闇にしまって

2017年の発行の本です。大学の講師も兼任されての教師生活は忙しさと生徒さんとの絆も深まって、様々なエピソードに溢れています。
 一方的な視点では無く、生徒さんからのアクションも加味されていますので、学園ドラマを見る思いがしました。
  

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歌文集
感想投稿日 : 2024年5月9日
読了日 : 2024年5月9日
本棚登録日 : 2024年5月9日

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