公正的戦闘規範 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房 (2017年8月25日発売)
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本棚登録 : 106
感想 : 7
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第18代日本SF作家クラブ会長 藤井太洋先生の短編集。

もともとハイレベルなITエンジニアだった人が書いているだけあって、情報技術を作中設定に活かすのが抜群にうまい。ひところよくあった行きすぎた科学技術に警鐘を鳴らす系の話ではなく、現在の情報技術が発展したら社会がどのように進歩するのか、読者にも理解できる形で示したのが好印象。情報技術に対する深い造詣と敬愛がどの話にも通底している。

特に印象的だったのは「コラボレーション」。
AIがプログラム修復に試行錯誤するさまをいじましいと表現するのが示唆的で、これは実行しても無駄だろうと思われるパターンまで含めて試行を繰り返すAIの姿と、開発に行き詰まったエンジニアが一縷の望みをかけて期待度の低いパターンを試す姿とにどれほどの違いがあるだろうかと思わされた。
今まで無機質に感じられていたAIという存在に情が感じられるようになるのは、筆者の力量の確かさを示すものだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年9月23日
読了日 : 2021年9月23日
本棚登録日 : 2021年9月23日

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