全13回のインタビューだったが、読みやすいので、厚い割にサクサク読めた。
「堤清二」という軸をとおして、戦後〜2000年代まで、という歴史を俯瞰する一冊。
そもそも、自分自身、セゾングループの存在を知らなかった。物心ついた時には解散してたようなので。そのため、「え、セゾンってクレジットカード会社じゃないの?」「西武百貨店、無印、ロフト、西友、吉野家、ファミマとかって同じグループだったの?」という、そもそもの前提知識を知らなかったので、そこが面白く感じてしまった。池袋には随分お世話になってるのに、そこを知らないとは…という感じ。
また、堤清二という人物自体の面白さにも惹かれた。
経営者であるが、語られているのは経営云々ではなく、「反体制」という考え方。こうすれば儲かる、とかではなく、自分の思いに従って会社を切り盛りしているイメージ。経営者というよりは、思想家の面が強い印象を抱く。
同時に、政治にも関っているところにも面白さを覚える。おそらく、堤清二だけでなく、さまざまな経済人が政治に関わりつつ、フィクサーとなっているのだろう。それを考えると、政治の政策決定などは、政治家に着目していては解明できない部分もあるだろう。オーラルヒストリーによって、ある特定の人、アクションに注目して紐解くことで、歴史を俯瞰する新たな軸が一本とおる気がする。
オーラルヒストリーの手法としても、これだけ大変なのか、ということがよくわかった。全13回の、30時間にも及ぶインタビューを文書化し、確認を経て出す。これは相当大変な作業だろうな…。
- 感想投稿日 : 2024年1月8日
- 読了日 : 2024年2月7日
- 本棚登録日 : 2023年11月19日
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