東京夜話 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2006年11月28日発売)
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感想 : 175

巻末の解説にあった、境界を消しにいく人、という話。

すごくしっくりきた。

世の中にあるあらゆるものを、自分のもってる目で等価に眺めることができるひと。周囲が作り上げた括りに囚われるのではなく、自分が感じたまま、思ったままに向き合いそれを表すことができるひと。

自分の中に入ってくるあらゆるもの。あるがままでいようとして、ヘンテコでこっけいなもの。そんな存在に素直に寄り添い、紡がれる言葉という表現。

不器用なものたちにそそがれるやさしさに惹かれて、ぼくもこのひとの物語を読んでるんだと思った。



吾妻橋の下、イヌは流れる。

川は、人に似ている、と。
隅田川という川はそこにあっても、水はいつだって絶え間なく、ずっと流れていく。
私という人がここにいても、こころ、というか、いのちというか、そういうものはずっと流れていくんだなあ。

川はそこにある。水は流れていく。そして、すべての水は、合流する。いや、合流する以前から、ひとつの流れとして、すべての流れがある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年3月26日
読了日 : 2014年1月12日
本棚登録日 : 2022年3月26日

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