巻末の解説にあった、境界を消しにいく人、という話。
すごくしっくりきた。
世の中にあるあらゆるものを、自分のもってる目で等価に眺めることができるひと。周囲が作り上げた括りに囚われるのではなく、自分が感じたまま、思ったままに向き合いそれを表すことができるひと。
自分の中に入ってくるあらゆるもの。あるがままでいようとして、ヘンテコでこっけいなもの。そんな存在に素直に寄り添い、紡がれる言葉という表現。
不器用なものたちにそそがれるやさしさに惹かれて、ぼくもこのひとの物語を読んでるんだと思った。
吾妻橋の下、イヌは流れる。
川は、人に似ている、と。
隅田川という川はそこにあっても、水はいつだって絶え間なく、ずっと流れていく。
私という人がここにいても、こころ、というか、いのちというか、そういうものはずっと流れていくんだなあ。
川はそこにある。水は流れていく。そして、すべての水は、合流する。いや、合流する以前から、ひとつの流れとして、すべての流れがある。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年3月26日
- 読了日 : 2014年1月12日
- 本棚登録日 : 2022年3月26日
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