書架でみかけて。
むかし見た映画で、
ヨーロッパでは亡くなった人の写真を撮る風習があったと知った。
随分奇妙な風習だな、とその時思ったが、
その流れは「デスマスク」からきたものかもしれない。
ローマでは死者の蝋人形(イマギネス)が先祖崇拝の一種として屋敷に飾られ、
蝋人形をつくることが高い家柄にのみ認められた権利だったこと、
子孫の葬列に先祖の人形が持ちだされたこと、
デスマスクをとってイマギネスを作ったことが明らかにされている。
その流れをくんで、ヨーロッパの王たちは亡くなるとデスマスクをとられ、
それをもとに肖像人形をつくり、生きているかのように扱われて、
壮大なる葬儀の主役を務めたということは初めて知った。
そう言われてみれば、ヨーロッパの教会の中で、
生前の姿の大理石彫刻が施されたお墓や、
もっと生々しい人形があるのを見たことがある気がする。
(遺体からは心臓と内臓がとりさられて、それぞれ柩に収められるとあった。
まるでエジプトのミイラ?)
マダム・タッソーの蝋人形館も行ったことがあるが、
マダム・タッソーは単なる興行主ではなく、
蝋人形の製作者だったのを知っておどろいた。
有名人に生き写しの蝋人形は見て、
何となく怖いなと感じていたのは、
その起源、存在が「死」とともにあるからなのかもしれない。
いろいろ知らなかったことを知れて面白かったが、
日本では「腐敗」が進むのが早くて一カ月も遺体を保管するのは難しいだろうな、とか、
デスマスクを取るにも「平たい顔族」では全部同じ顔になってしまうだろうな、
と余計なことばかりを考えてしまった。
- 感想投稿日 : 2021年3月13日
- 読了日 : 2021年3月13日
- 本棚登録日 : 2021年3月13日
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