入らずの森 (祥伝社文庫)

  • 祥伝社 (2012年3月14日発売)
3.20
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本棚登録 : 386
感想 : 39
5

「愚者の毒」と同じ作者だったので。

怖かった。
どこにも書いていなかったが、
人ならずものが好むのは人の心の闇だと思い、
それぞれ闇を抱える登場人物の誰が餌食になってしまうのだろうかと、
怖かった。

ホラーは好きではない。
カバーによるとダークファンタジーというらしいが、
昔の人殺しの話とつながる気味の悪い粘菌の話だとわかっていたら読まなかったと思う。

しかし、面白かった。
次々とピースがはまっていくジグソーパズルのように、
様々な話がつながっていく。
ただし、そのピースは普通のジグソーパズルとは違って、
大きさも形も一定ではない。
大きくて何が描かれているのかが判るピースは当然真ん中に置くとして、
描かれていることはわかるけど、
全体の絵の中のどこに入るのかさっぱりわからないピースもある。
脇にまとめて置いておく。

そして、ピースとは思わず見過ごしてしまう小さいピースもある。
しかも、小さいピースが後で重大なかけらとなる。
最後のピースをはめたときに見えるのは、
ただの謎解きではなく、人の心の美しさであり、醜さであり、強さであり、弱さ。

この作品はミステリー、美しいミステリーだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2018年6月24日
読了日 : 2018年6月22日
本棚登録日 : 2018年6月22日

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