折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

制作 : ケン・リュウ 
  • 早川書房 (2018年2月25日発売)
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感想 : 32
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編集者が初めに述べているように「中国が作ったSF」というカテゴライズには全く意味がない。多種多様で、かつ万国共通の面白さとメッセージ性があった。ただ最近の中国の急速な技術進化と政治の極端な介入が中国が優れたSFを生むきっかけになったという話、本当にそうなんじゃないかと思う(そうやって考えるのは控えるようにと書いていたけど)。

読んだ人全員が言っているように、劉慈欣の「円」は圧倒的な面白さ。秦の300万人の軍で巨大人間計算機を作り上げるという、なんとも「SFはこうでなければ!」と思わせてくれるSFのロマンがそこにあった。意外で、余韻を残させるオチも最高。そしてこれがある小説からの抜粋なのだから驚き、著者の他の作品を即購入した。

チョン・ジンボーの「蛍の墓」も結構好き。テーマ自体はとても人間的だけども、暗闇と光、生と死、宇宙と小さい惑星といった極端な対比が多用されているおかげで、話全体のスケールがものすごく大きく、素敵な世界観だった(『インターステラー』のオチが「宇宙ですら敵わない“愛”という存在」だったけどそれに近いものを感じた)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年12月19日
読了日 : 2020年12月19日
本棚登録日 : 2020年12月19日

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