百合子、ダスヴィダーニヤ 湯浅芳子の青春

  • 文藝春秋 (1990年1月1日発売)
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感想 : 11
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思いがけず、読むのに時間がかかってしまった。
著者の思い入れがたっぷり詰まっていて、また処女作ということもあってか、簡潔な文章なのに、何やら読みにくい。

ただいま、公開中の映画「百合子、ダスヴィダーニャ」の原作。
なんで、今頃、湯浅芳子と宮本百合子???
「第七官界彷徨-尾崎翠を探して」の浜野佐知監督が、
十年以上温めてきたテーマだという。

宮本百合子は、宮本顕示夫人であり、あの野上弥生子が唯一ライバル視した女性作家だ。
芳子との関係は、その小説を通し、一方的に流布された感がある。
初めて、芳子サイドからも語られたと言えようか。
(芳子は自ら語ることをしてこなかったわけだが)

芳子という人の晩年に接し、著者が遠い時代の女性同士の互いを高め合おうと誓った共同生活に強く惹かれたのはよくわかる。
でも、いかんせん……1990年の著作……

あ~、こういうものの見方もありましたね、そうそう、フェミニズムですよ、
私は苦手でした……
その感覚は、最後までぬぐえず……

ただし!
芳子&百合子にこれほど、真摯に取り組み、一冊にまとめあげた著者の情熱と力量には頭が下がる。

そして、それ以上に、二人の書簡の真摯なやりとりに、
平成の世で私は、憧れる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 評伝
感想投稿日 : 2011年11月18日
読了日 : 2011年11月18日
本棚登録日 : 2011年11月14日

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