映画ライターズ・ロードマップ: 〈プロット構築〉最前線の歩き方

  • フィルムアート社 (2005年3月1日発売)
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感想 : 5
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プロット、構成作りの本では一番おすすめかも。スナイダー著「SAVE THE CATの法則」とこの本があれば、ハリウッド3幕構成法はまず理解できる。後は映画をたくさん見て、自分でも脚本を書きまくればいい。

<5 主人公を決める>
・主人公には、心に葛藤を持ち、果たせぬ夢のある普通の男や女というプロトタイプを用いるのが望ましい。何故か? それは、あなた自身がこのプロトタイプにとても近いからだ。新進の脚本家は、自分自身を主人公に重ねて書くのが通常だし、理に適っている。主人公の感情を正確にとらえ続けることができる。
・自分自身に正直である必要がある。問題と向き合う。心に傷があるのであれば、傷を負った過去の出来事をきちんと提示する。
・主人公は冒険を通して、他の誰よりも変化しなければならない。
・二つ目のカギは苦しみ。何故かと言われれば、とにかくそういうことになっているから(笑)。観客は主人公の苦しみを共有する。苦しまない主人公にドラマはない。苦しみが大きければ大きいほど、その映画はよい作品になる。かといって映画全体苦しみでいいわけでもない。楽しみも入れる。
・主人公はまともに墜落し、屈辱を味わい、利用され、裏切られる。それがあって初めて天啓を受けることができる。
・セリフは考えられているほど重要なことではない。ライターであるあなたが創作しなければいけないことは、むしろストーリーのシチュエーションを転換させることだ。シチュエーションに反応してもらい、解決させる。登場人物の本当の姿を描き出す。彼らが口で言うことはそれほど雄弁ではないのだ。うまい役者は目で演技ができる。目の演技は受動的演技である。
・どんな人物を主人公にするにしても、その人の内的葛藤を早めに見せること。

<6 敵対者を決める>
・観客は大きな敵対者を期待する。
・敵対者には、主人公の主張と正反対の意見を持たせる。これはあくまで哲学的な意味。実際には、主人公と敵対者は、同じものを求めている場合がほとんど。あくまで同じもの(愛、金など)を争うけれど、その観点が正反対というだけ。

<7 心的葛藤・衝突>
・主人公に欠陥を作る。
・アリストテレスは、主人公の歩く道筋を、プライドのために高位から落ちることであると定義している。でも最近の映画では、「普通の人」がお好み。主人公は低位にいる。高位の人が敵対者になる。すると主人公の欠陥はプライドや驕りになりにくい。その代用となるのが盲目さ。
・何かの価値に盲目。間違っているのに、間違っていないと信じている。映画の終盤で過ちに気づき、目を開く。
・モーセやジャンヌ・ダルクは、心の痛みに耐え抜いた。信念を失わずに、自分の思想に忠実にあり続けた。

<8 主人公の主張>
・ディズニーに勤める著者友人「第一幕は主人公の主張、第二幕はそれに反発するあらゆる主張、第三幕は打ちのめされて落ち込んでしまうことと、最終的に全てが解決すること」
・主人公は落ち込んで何かを見つけることで逆境を乗り越える。その主人公が見つけるものは、基本的に書き手の主張とだぶる。よって、第一幕は主人公の主張、第二幕はそれに対する反対意見、第三幕は作者の主張(痛みと最終的な全解決)となる。
・作者であるあなたの主張と、主人公の主張、敵対者の主張は同じものではない。登場人物の主張はシンプルなもの。解決策まで用意しなくていい。
・ストーリーを作る時、書き手には主張がなければならない。それは哲学的に難解なものである必要はなくシンプルでいい。シンプルであるべきだ。

<9 登場人物を、そして友人を作り出す>
・主張を素直に言い合わない。普通の人は本心を素直に言い合ったりしない。よって、モノを通して本心を表現するように工夫する。例えば、パンケーキを作るとする。作り方やできたパンケーキに対して、夫と妻が意見を言う。その意見の相違が、二人の本心を間接的に表すように。

<18 仲直り、結婚式、旅立ち・・・クライマックス>
・多くの映画は、仲直り(主人公の故郷への帰宅含む)、結婚式、旅立ちで終わる。
・最先端のエンディングは、最後の最後でもう一度ひっかきまわす。しかし、最先端のエンディングに縛られる必要もない。あくまで、それまでのストーリーに最もふさわしいエンディングを用意する。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 創作技術
感想投稿日 : 2014年3月17日
読了日 : 2014年3月17日
本棚登録日 : 2014年3月10日

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