源平の風 (白狐魔記 1)

著者 :
  • 偕成社 (1996年2月1日発売)
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本棚登録 : 791
感想 : 95
4

小学生でも読める本、というテーマの選書です。
舞台は平安時代末期の源平合戦の時代で、主人公となるのは「きつね」です。
人間を「化かす」と言い伝えられているのを聞いたきつねは、そのための修行の場である「白駒山」へと向かい、そこで出会った仙人のもとで修業を始めます。

子供向けのファンタジー作品なので、少し描写に物足りない部分もありますが(どのようにして仙人はその力をみにつけたのか、またきつね(白狐魔丸)が能力を開眼する場面も「特殊な訓練」を積んだ様子もなく……)、登場人物の心理描写は細かく描かれていましたし、全体の物語展開は面白く感じました。

なぜ、人は生きるため(獲物を捕まえて食べるためや、縄張りを確保するため)ではなく互いに殺しあうのか、という白狐魔丸の抱いた疑問は、現代社会でも繰り返される戦争の悲劇に想いを寄せることにもなりますし、小学生のころからぜひ読んでもらいたい作品です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 仕事
感想投稿日 : 2018年5月14日
読了日 : 2018年5月12日
本棚登録日 : 2018年5月14日

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