バカの壁 (新潮新書)

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本棚登録 : 9778
レビュー : 1075
著者 :
finger0217さん 仕事   読み終わった 

「「平成」をふりかえる」という企画展示に関連して、平成の30年間のベストセラーをいろいろ読み始めようと思い、手に取りました。

発売当初から各方面から注目された話題書であったこと、また養老孟司のキレのある筆致で社会に漂う閉塞感や「いきづらさ」の文責がなされていること(執筆されたのは15年以上前になりますが)など、まさに「平成」を代表する1冊であるように思います。

「個性」を尊重する風潮に対する批判は、いわゆる「自己責任論」などにもみられる共同体の崩壊とも関連する部分があるように思いましたし、冒頭の「第1章 「バカの壁」とはなにか」は現在の中学高校生にもぜひ読んで欲しい本です(もちろん、その後の議論も難しい内容ではないので、最後まで読んで欲しいところではありますが)。

議論の展開として、過激な部分や極端な部分もあり、作品の全部分についてもろ手を挙げて賛同する、とまではいきませんでしたが、平成の後に来る時代を生きてゆくうえでもヒントとなると思います。

また、個人的には「文武両道」という言葉についての記述も強く印象に残りました。

P.94~
江戸時代は、脳中心の都市社会という点で非常に現在に似ています。江戸時代には、朱子学の後、陽明学が主流となった。陽明学というのは何かといえば、「知行合一」。すなわち、知ることと行うことが一致すべきだ、という考え方です。▼しかしこれは、「知ったことが出力されないと意味がない」という意味だと思います。これが「文武両道」の本当の意味ではないか。文と武という別のものが並列していて、両方に習熟すべし、ということではない。両方がグルグル回らなくては意味がない、学んだことと行動とが互いに影響しあわなくてはいけない、ということだと思います。

何はともあれ、「自分が正しい」と思いこんだり、「自分なりの”個性”を出さなくては」としゃかりきになったりすることなく、様々なものに目を向け、「知る」ということ、実物を見て考えるということを大切にする必要がある、という話なのだと思います。

レビュー投稿日
2019年3月22日
読了日
2019年3月22日
本棚登録日
2019年3月22日
4
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