任侠書房 (中公文庫 こ 40-23)

著者 :
  • 中央公論新社 (2015年9月25日発売)
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本棚登録 : 2158
感想 : 253
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いわゆる、「渡世の仁義」をわきまえた、ヒーロー的な「やくざ」が活躍する話です。
暴対法による一般社会からに締め付けや警察の監視が高まる中、昔ながらの方針で堅気に迷惑をかけないよう、筋や情けを重んじている阿岐本組の代貸(若頭)・日村が主人公です。
もちろん、法律の影で商売をしている稼業ですから、現実にはこのような「漢気」だけで割り切れる部分はないのだろうということはわかっていても、やはり「男」の生き方として筋を通し、面子のために我慢をし、時には怒りを爆発させる「本職」の迫力はかっこよさを感じさせます。

組長の阿岐本も昔ながらの博徒として、また人心を掌握する術にたけた「リーダー」としてよいキャラクターに描かれています。

笑える場面もあり、(実際にはそのようなことはないということはわかっていても)「やくざ」の世界の辛さと「粋」を感じる場面もあり、楽しんで読むことができました。特に組員の任侠道が堅気の人たちに理解され、互いに分かり合うような場面は感動的でもありました。

ぜひ、次のシリーズ作品も読みたいと思わせてくれる作品でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 個人
感想投稿日 : 2018年8月4日
読了日 : 2018年8月4日
本棚登録日 : 2018年8月4日

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