女たちの遠い夏 (ちくま文庫)

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本棚登録 : 77
レビュー : 11
制作 : Kazuo Ishiguro  小野寺 健 
finger0217さん 仕事   読み終わった 

‹内容紹介より›
イギリスに住み、娘の自殺という事態に遭遇した悦子は、自分が生きてきた道を回想する。裏切りの記憶、子殺しの幻影、淡く光った山並みの残像ーー戦後の長崎を舞台に、戦争と戦後の混乱に傷ついた人々の苦しみを、端正流麗な文体で描きあげる。謎めいた構成の背後から、戦後日本の一つの透し図が現れ出る……。長崎生まれ英国育ちでブッカー賞受賞の日本人によるイギリス文壇ヘのデビュー作。

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2017年ノーベル文学賞を受賞したことを受け、はじめてカズオ・イシグロの著作を読んでみました。
まずはデビュー作。
物語の語り手は、「景子」と「ニキ」という二人の娘を持つ景子。姉の景子は日本人(二郎)との娘、妹のニキは英国人との娘。
細かな理由や原因などは描かれませんが、景子とニキの関係は悪かったようで、景子が自殺した後も、彼女の「影響力」がたしかに家に残っているのを悦子もニキも感じています。
そしてその感覚が、悦子に長崎時代の記憶を呼び起こさせるのです。
戦争から立ち直ろうと前を向くうどん屋の藤原さん、自身のこれまでの教育を否定された舅の緒方さん、日本を飛び出しアメリカへわたることを夢見る佐和子とその娘万里子。
「幸せ」に生きることをそれぞれに考えているのでしょうが、悦子の(あるいは読者の)視点から見て、だれが本当に「幸せ」なのか、考えさせられる作品だと思います。そこはかとなく、「戦後日本における女性の自立」や「戦後日本の思想(思潮)の劇的な変化」が感じられる作品でした。

レビュー投稿日
2017年10月7日
読了日
2017年10月7日
本棚登録日
2017年10月7日
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