愛の本 (ちくま文庫)

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本棚登録 : 121
レビュー : 11
著者 :
finger0217さん 仕事   読み終わった 

別の学校の生徒がビブリオバトルで紹介しており、職場の人間関係にちょうど煮詰まっていた時期でもあるので、帰りがけに購入。

極端に言ってしまえば、自分以外の人間はたとえ親であれ、配偶者であれ、子であれ、みな「他者」であり、自分と全く同じということはありえない、ということを(しっかりと)意識しながら過ごしていきましょう、その中でどのような考え方をしてゆけば、「生きづらさ」を感じすぎることなく生活することができるか、考えましょう、という趣旨の本です。
役に立つマニュアル本というわけではありませんが、読み終えると少し楽になった気がします。
追い込まれたとき、煮詰まったときに度々手に取る本になるかもしれません。

例えば、「自分のすべてを受け入れてくれることを他者に期待せず、自分の考えや感じ方が少しでも伝わったことを楽しみ、そこを起点に少しずつ人とのつながりを深めて(p.45)」いくこと=他者からの”絶対的な承認”を求めないことが、息苦しさを感じないように生きるコツである、ということを改めて文章で読み、少し救われたような気がしたのも事実です。
また、自分とは異なる他者が集まって構成されている「社会」で生活してゆくためには、「「異質性」を前提にしながら、より心地よいつながりを作るにはどうすればよいのかという発想が大切になる(p.91)」のだという筆者の主張には賛同します(そのために社会には様々なルール(基本的には法律の形をとる)が存在する)。
※一方で、どうしても理解できない(その「異質性」をどうしても許容できない)という他者とのつながりを保持しなければならない状況でのふるまい方などは言及がなく、少し残念ではありました。

最も印象に残ったのはp.153の一文で、
「「他者」というのは何が恐いかって、「私」の許可もなく勝手に「この人はこういう人だ」って判断を下してくること。つまり「私」の許可なく勝手に私を「対象化」してくる存在が他者なのだ。つまり「このように私を見てほしい」といったこちら側の願いなんてあっさりふきとばしてしまうような存在、それが他者」
というものです。
先に読んだ本では、他者からの評価を気にして、攻撃的な人の理不尽な要求を拒絶できないことは「怠惰」である、という指摘もありましたが(そしてその指摘は一部では正しいと思うのですが)、なぜ他者からの評価が気になるのか、そして評価をしてくる他者が「恐い」のか、ということがすっきりと理解できたように感じました。

レビュー投稿日
2019年9月23日
読了日
2019年9月23日
本棚登録日
2019年9月22日
4
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