タイトルの通り、「死」について哲学的に論考した大学講義録です。
イェール大学の教授の語り口は読みやすく、内容もスッと頭に入ってきました。
人の「死」とはどのようなものか(生命機能が停止した時点が「死」なのか、はたまた思考等の”人間的な活動”ができなくなった時点が「死」なのか)、「死」は悪いものなのか(「不死」が望むべきものなのか)、さらには自殺は完全に”悪”なのか。
筆者の論調は、ときに極端な例を示しながらすすむ場面もありましたが、論旨は明快で、違和感を覚えたり矛盾を感じたりすることはありませんでした。
特に、自殺についての筆者の考えについては、賛成する部分もありつつも、やはり感情的には受け入れがたい部分もあり……。
筆者の考え方が100%正しいわけでも、また筆者の考えに100%同意できるわけでもありませんが、この本を読み、「死」について自分なりに考えるきっかけを持つことができた、ということ自体が(筆者も本書の狙いの一つといっていたように)この本を読んで得られた最もおおきな学びだったかもしれません。
380ページ近い大著ですが、読み始めるとすらすらと進めることができました(完訳版にはある、形而上学的な部分が割愛されているからこそかもしれません)。中高生のはこの「縮約版」が読みやすいかもしれません。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
仕事
- 感想投稿日 : 2019年7月31日
- 読了日 : 2019年7月31日
- 本棚登録日 : 2019年7月31日
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