幕末のジャンヌダルク、とは少し言い過ぎかもしれない。しかし滅亡寸前の会津藩にとってはそう見えたのだろう。
今年の大河ドラマの主人公、新島八重。
初めて聞くこの名に興味を覚え、入門書のつもりで読んでみた。
維新後、幕府側の会津藩とともに新政府軍に立ち向かい、夫の川崎尚之助と鶴ヶ城に立てこもって、銃で応戦する八重。
当時としては銃や大砲の知識に詳しい女性は珍しく、このころから世間の常識や立場に捕らわれない発想の持ち主だったことが分かる。
のちに二番目の夫となる新島襄と結婚してからは、クリスチャンとなり夫を懸命に支える。
白虎隊の悲劇や城下での集団自決など、会津戦争で多くの人を失い壮絶で凄惨な体験をした彼女にとって、夫が進めるキリスト教を元にした学校運営を手伝うことは、ある種の救いだったのだろう。
人生の後半、積極的に西洋的なものを生活に取り入れ、教師や看護活動に尽力したその姿は、二度と会津戦争のような悲劇を日本に繰り返させない為だったようにも思える。
小説では同志社大学を設立した新島襄の他、八重の兄、覚馬と交流のあった佐久間象山や勝海舟も登場する。
大河ドラマでは会津藩お預かりの新撰組も登場するようで、どのような描かれ方をするか興味深い。
まったく違った二つの時代を生きた新島八重の生き方を知ることは、今の時代にとって大いに参考になるものと思われる。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年1月1日
- 読了日 : 2013年1月1日
- 本棚登録日 : 2013年1月1日
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