公務員はなぜ認知症になりやすいのか (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎 (2013年9月28日発売)
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感想 : 7
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認知症になりやすい職業ベスト3、公務員、教員、会社役員。
65歳以上の7人に1人が認知症。

認知症専門医であり、また介護福祉の分野にも携わっている著者が書いたこの本は、認知症の患者を長年見てきただけに、強い説得力があり、信頼できる内容であるといえる。


決まりきった仕事内容。
高度な判断力を必要とせず、考える作業が少ない。
退職後も運動不足で新しいことに挑戦しない。
自分の興味関心を広げる努力をせず、老後も毎日が同じことの繰り返し。
喜怒哀楽が少なく感情表現が乏しい・・・・。
友人が少なく、家族以外と話さない。
本を読まない。映画を観ない。
外出しない。

認知症になりやすい人の生活パターンや性格に、このような共通項があると著者は書いているが、確かに知人の認知症患者は全員それに当てはまる事柄がきわめて多く、本書の内容と重なり合っていているようでゾッとした。

認知症になるかどうかは性格や環境が極めて大きくかかわっているとの指摘に驚くが、使われなくなった筋肉が衰えるのと同じく、脳の機能も使われる領域が少なくなれば急速に衰えていくようだ。

ボケはたんなる老化現象でなく、どうやらその人自身の生き方や人生哲学が問われていると感じた。

また本書では認知症と遺伝子の関係、認知症になりにくい食生活、認知症の介護と最新の治療法、どんな施設が良いのか、また事前に遺言書を作成しておくことの大切さなど多方面にわたって述べられている。

40歳から認知症予防のための行動が必要と著者は書いているが、それ以上若くても知識として持っていることは無駄ではないと感じた。

自分だけは別だろう、との考えが一番危険なのかもしれない。
若い人にも読んでもらいたい一冊である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年11月28日
読了日 : 2013年11月28日
本棚登録日 : 2013年11月28日

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