神聖ローマ帝国 (講談社現代新書)

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レビュー : 60
著者 :
firstlightさん  未設定  読み終わった 

・・・・・・・っということで、ヨーロッパの歴史に頭を突っ込んだ人が必ず直面する空白の部分。


それが、神聖ローマ帝国です。


中世以降、あらゆる場面でちょくちょく顔を出してきます。


顔を出すけれども、その実態がなかなかつかめない。


気になって気になって仕方がなくなります。


イギリス、イタリア、フランス、はたまたオスマントルコに関してはいくらでも本を見つけることが出来ます。


そう、ドイツが抜けているのです。


神聖ローマ帝国について本を探してみて御覧なさい。


本書以外に殆どヒットしないでしょ?


なぜこんなに少ないのか?


不思議でしょ?


それは複雑過ぎるのです。


ぼくが読んだ中では、神聖ローマ帝国の皇帝であったのはフリードリッヒ二世だけ。


しかし、彼はどちらかというとイタリアに軸足を置いていました。


これは、いちど神聖ローマ帝国について読まなきゃならんと常に思っていました。


たぶん他の歴史好きな人も同じ思いを持つはずです。


そしてたどり着くのが、本書しかないのです。


・・・・・・・


著者の専門はオーストリア文学。


バリバリの歴史家でないところが面白いところ。


本の内容にはベランメー調なところがあって、歴史家ならこんな表現はしないだろうなぁとヒヤヒヤさせられます。


でも、専門家でないことが却ってよかったのではないでしょうか。


神聖ローマ帝国を語るには、先ずフランク王国からはじめなければなりません。


どこかで聞いたことのあるピピンが国王になったのが、8世紀中旬。


神聖ローマ帝国が消滅するのが19世紀初頭。


なんと、1000年ちょっとにわたって記述しなければならないのです。


複雑にさせているのは期間だけではありません。


カロリング王朝、ザクセン王朝から始まってハプスブルグ家まで様々な家系が次から次へ出現してきます。


さらに地方の諸侯がくんずほぐれつの争いを繰り広げます。


もちろん隣国との抗争も数知れず。


これだけの要素を新書のたった250ページに押し込むのです。


歴史家だったら、さじを投げたくなるのもうなづけます。


でも、この著者はやり遂げた。


しかも人物描写が面白い。


飛びぬけたリーダーがいないのに、読者の興味をこれだけ引っ張ってこられるのは、著者自身が書いているように人への愛着が強いからじ

ゃないでしょうか。



何が神聖なのか、ドイツなのになぜローマ帝国なのか、さらにどうして法王が力を持つようになったのか、30年戦争ってナンだったのか、

ウェストファリア条約の意味は?フランス王国の始まり、スウェーデン、スペイン、オランダデンマークの成り立ち・・・・などなど、ヨ

ーロッパ史の様々な疑問を解く鍵を提供してくれます。


図書館で借りてきたけれど、絶対手元に置いておきたい本の一つです。

レビュー投稿日
2016年10月25日
読了日
2016年10月25日
本棚登録日
2016年10月25日
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