黒医 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2019年12月24日発売)
2.98
  • (1)
  • (9)
  • (31)
  • (12)
  • (0)
本棚登録 : 205
感想 : 27

+++
努力と競争を過剰にもてはやす「ネオ実力主義」が台頭し、働かないヤツは人間の屑、と糾弾される社会で、思いがけず病気になってしまった男。(「人間の屑」)気軽に受けた新型の出生前診断で、胎児の重い障害を宣告されて中絶するか悩む夫婦。(「無脳児はバラ色の夢を見るか?」)医療や技術の進歩の先に見える、幸せな人生は幻想なのか。救いなき医療と社会の未来をブラックユーモアたっぷりに描く7編で綴る作品集。
+++

どの物語も、そう遠くない未来に実際に起こりそうで怖い。さらには、大人になり切れない大人が増えている気がしてならない昨今、医者でさえも例外ではないと、改めて気づかされて、空恐ろしくもなる。何に頼ればいいのか不安になるが、しょせん医者も人間であるということだ。ブラックすぎるユーモアで、到底笑えないが、自分の身は自分で守らねば、との思いを改めて強くさせられる一冊でもある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: か行の作家
感想投稿日 : 2020年2月10日
読了日 : 2020年2月10日
本棚登録日 : 2020年2月10日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする