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インドで襲われ一年後に亡くなった父の『占い拠 七ノ瀬』を継いだ桜子は、客が喜ぶ占いをするのが苦手で、占い師として致命的。そんな桜子を心配して、表に裏にと駆けずり回るのが乾耕太郎だ。ふだんはしがないフリーカメラマンをしている。仕事がないときがよくあるのだが、そんなときは奔走しっぱなし。というのも桜子に気があるからだ。二人の前に立ちはだかる五つの謎を解いて、男を上げろ、耕太郎。
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表題作のほか、「守りたかった男」 「翼のない天使」 「ミツオの帰還」 「水曜日の女難」
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亡き父・天山の跡を継ぎ占い処を営んでいるが、不吉な予見が得意という、およそ流行そうもない占い師・桜子。父親同士が親しく、父亡きあとは数年天山の家に下宿していたこともある乾耕太郎。桜子の家の一室を仕事場として使わせてもらいながら、ときどき占い処の留守番もする耕太郎だが、天山が亡くなった原因は、自分にあると言ってもよく、いまだに桜子に対して責任を感じ続けている。そんなこともあって、桜子が巻き込まれる謎を解き明かそうと奔走する耕太郎なのである。そもそもの結びつきに影が差しているということを除けば、よくある設定であるが、幼馴染や近所の情報通のおばさんなどがいい味を出していて、古き良き町内会的雰囲気を醸し出しているのがいい感じでもある。この先二人はどうなっていくのか、ちょっと興味がある一冊である。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
あ行の作家
- 感想投稿日 : 2014年5月20日
- 読了日 : 2014年5月20日
- 本棚登録日 : 2014年5月20日
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