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錺職の老舗「椋屋」の娘・お凜は、女だてらに密かに銀線細工の修行をしている。跡目争いでざわめくなか現れた謎の男・時蔵は、江戸では見られない技で簪をつくり、一門に波紋を呼ぶ。天保の改革で贅沢品が禁じられ商いが難渋する店に、驚天動地の大注文が入る。江戸の町に活気を与えたいと、時蔵とお凛はこころをひとつにするが―。職人世界の粋と人情を描く本格時代小説。
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奢侈禁止のご時世と、そこに生きる錺職人たちの気概、店の跡取り問題、などなどさまざまな要素が織り込まれ、細工への情熱や恋心と言ったスパイスも加えて、一筋縄ではいかないなかせる物語である。病で早世した椋屋の四代目・宇一の深慮遠謀がなんとも見事としか言いようがない。時蔵のことは残念でたまらないが、その分お凛が輝く明日が待っているのだろう。江戸の世に迷い込んだような心地にさせてくれる一冊だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
さ行の作家
- 感想投稿日 : 2020年12月24日
- 読了日 : 2020年12月24日
- 本棚登録日 : 2020年12月24日
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